作品紹介
【監督】サミュエル・マオズ
【出演】リオル・アシュケナージ/サラ・アドラー
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】イスラエル テルアビブでに住んでいる夫婦 ミハエルとダフナのもとにに軍の役人が訪ねてくる。彼らは息子 ヨナタンが戦死をしたことの伝えるが、ダフナはショックで気を失ってしまう。後にヨナタンの戦死は間違っていたことがわかり、ミハエルは激怒し、息子を呼び戻すように要求する。夫婦と息子の運命を描いた作品。
中盤以降で物語の骨格がみえてくるまでがちょっと苦痛ではありますが、良作
第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映されて、審査員大賞を受賞しています。
2017年度のオフィール賞作品賞(英語版)を受賞
アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品
物語は、ミハエル夫婦が中心で進みますが、中盤は、ヨナタンの戦場での生活となります。
まずは、自分の息子が戦場で死んでしまうというところが想像できるのかという点です。
イスラエルは、パレスチナ問題のため、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地として世界的な重要な地区となっており、長い間宗教の異なる人々が共存しているため、内紛が続いています。
とはいえ、内紛自体も宗教の歴史から考えると100年程度という短い期間となります、
大きくは、ガザ地区とパレスチナ自治区に分かれており、パレスチナ自治区は「パレスチナ自治政府」が当地している状況です。
テルアビブは沿岸沿いで、ガザ地区より北50kmくらいのところにあります。
ミハエル夫婦が住むテルアビブは、比較的治安の良い街ではあり、昔のように常に内紛が起こっている状況でもありませんが、治安は他の地区よりもマシだとはいえ、日本よりも遥かに死が近い場所ではあります。
息子の死については、後に誤報となるために、更に夫婦は困惑してしまいますが、無理もなく、自身の子供を思うと、深い悲しみにくれるのは理解できると思います。
中盤ではそのヨナタンの生活が描かれますが、国境警備という任務であり、危険性は非常に少ない任務であります。
極稀に車が通り、ラクダが通るようなのどかな場所で、らくだの通行にはコメディ感すらあります。
ヨナタンの絵は嫌いじゃない、むしろ好き。
ダンスも踊りますが、それほどまでに退屈でもある任務です。
ただしある事件でグッと緊張感が生まれます。この緩急が素晴らしく、単調な要素に絶妙なエッセンスが加わります。
その後、再びテルアビブとなり夫婦の亀裂が起こり始めることとなりますが、ここでもダンスが出てきます。
つまり「運命は踊る」という意味合いがここで生まれ、同じ場所で踊るというダンスの基本的な要素と現在の状況が妙にリンクをするのです。
原題は「Foxtrot」といい、スロースロークイッククイックのステップでもあります。このステップはちちと息子で同じようなステップを踏みます。ここもポイントになります。
終盤の暗示と伏線の回収がありますが、このまとめ方は見事。見事いうよりも、運命として訪れた偶然と受け止めるほうが自然です。
中盤以降で物語の骨格がみえてくるまでがちょっと苦痛ではありますが、良作です。
予告編
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