作品紹介
【監督】ホナス・キュアロン
【出演】ガエル・ガルシア・ベルナル/ジェフリー・ディーン・モーガンサム/アロンドラ・イダルゴ
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】メキシコからアメリカへ不法入国をしようとする15人の不法移民者たち。水も武器もなくほぼ身一つの状態での入国の中、国境でライフルと愛犬で密入国者たちをハントするまさにアメリカ国境の番人のようなサイコパスが迫る。
サブスクで観る
非常にシンプルな登場人物と主人公の目的という設定は見事
『ゼロ・グラビティ』などのアルフォンソ・キュアロンがプロデューサー。
監督はその息子である。
自由を求めてアメリカに入国するお話は、たくさんある。
大抵の話は、アメリカ政府の監視の目をくぐり抜けるというのが多い中、本作品はあまりその要素はない。
もともとガイドツアーのような密入国手段で入国を開始する。その数、約15人。
楽勝のように見える入国もひとりのハンターにより崩壊していく。
遠距離からのライフルの狙撃に、全く武器もなく、バックパックのみで入国を果たそうとする人たちは次々と倒れていく。
広大な荒野にバックパックひとつで歩いて入国する様には、アメリカへの憧れがあり、生き延びるための賭けでもある。
追跡者の影は、愛犬とともにジワジワと迫り、一種の恐怖感がある。
愛犬の名は「トラッカー」であり、とことん追跡者である。
ライフルの狙撃も恐ろしいのですが、このトラッカーはさらに恐ろしい。
訓練された犬には、絶対に勝てないという印象もあり、嗅覚と脚力において、人間を上回る特長には、絶望感すら覚える。
主人公の機転で、危機を切り抜けることはできたとしても、さらに背後には土地勘のある追跡者も迫る。
非常にシンプルな登場人物と主人公の目的という設定は見事。
難解な部分を払拭して、ストーリーに集中できる構成には、肩肘張らずに見られる気楽さはある。
ただし、自分が主人公に置き換えてみると、とても厳しい現実との対面に恐怖を覚える。