【日本映画】「舟を編む〔2013〕」★★★★☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】玄武書房で38年間辞書を作り続けている編集者荒木が定年間近となり、後任を探すこととなる。社内の馬締という名前通り真面目な男が、「右」という言葉を定義するという問題を見事に回答し、新しい辞書「大渡海」の編集に携わることとなる。

一筋縄ではいかない人々が多数登場する群像劇調の映画として傑作

石井裕也監督は、高校時代から映画監督を志し、大学の卒表制作で、2005年『剥き出しにっぽん』を監督して評価をされ、以降、「川の底からこんにちは」「舟を編む」など高い評価の作品を生み出しています。

松田龍平は、父親に松田優作を持ち、1999年『御法度』で大島渚監督からの直接要請がされ、一度は断りながらも、見事、主演を演じきって俳優デビューをしており、尊敬していた浅野忠信の作品に影響を受け、徐々に出演作を増やしてきています。主演でも脇役でもとても印象の残る俳優でもあり、『あまちゃん』でのミズタクで一般的な人気を博しながらも、一貫して仕事のスタンスは変わらないように見え、映画やドラマで出演していれば、安定の内容が約束されている、そんな不思議な俳優かと思います。

宮崎あおいは、4歳より子役デビューをしており、CMや雑誌の仕事をしています。1997年頃から女優業をはじめ、1999年「あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜」で映画初出演をしています。2001年「EUREKA ユリイカ」で注目され、その後、「害虫」「NANA-ナナ-」「ただ、君を愛してる」『少年メリケンサック』「ソラニン」などの作品に出演しています。2008年NHK大河ドラマ『篤姫』で主演を演じています。2017年、V6のと再婚をし、仕事量を抑えながらも女優業を続けています。

主人公は松田龍平ということもあり、一癖ある主人公像にはピッタリです。

相手役の宮崎あおいは、和食職人というところであり、こちらも主役のイメージを守りつつ、しっかりとしたキャラクターで観ていて違和感はありません。

「大渡海」という辞書を作る編集者の話ですが、実際、辞書制作にここまでの時間と背景があると言うことにまずは驚きです。この描き方が面白い。

「「右」を説明する」というくだりには、とても言葉とは奥深いものだということが痛烈に伝わります。ある言葉を説明するために、類義語を使わずにゼロから説明するということは、とても頭を使うことだとわかります。

そのため映画の中の時間では、約12年の歳月が流れ、主人公は結婚もし、仕事の立ち位置も変わっていきます。

地味で淡々と物語が進みますが、本が好きな人には理解されやすい映画に思います。

オダギリジョー演じる営業部のキャラクターは、好感の持てるキャラクターで、軽いところはあるのですが、つかみどころがなくその部分がかえって魅力的でもあります。

主人公はもともと文学青年ということもあり、表現が色々めんどくさいのですが、そのめんどくささがまた魅力でもあります。一癖も二癖もあるキャラクターが多数登場し、それらをまとめているところに、この映画の魅力があります。

一筋縄ではいかない人々が多数登場する群像劇調の映画として傑作です。

予告編

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松田龍平, 宮崎あおい, オダギリジョー, 黒木華, 渡辺美佐子, 池脇千鶴, 鶴見辰吾, 伊佐山ひろ子, 八千草薫, 小林薫, 加藤剛, 宇野祥平, 又吉直樹, 波岡一喜, 森岡龍, 斎藤嘉樹, 麻生久美子
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