【洋画】「インランドエンパイア〔2006〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】ハリウッドに住む女優ニッキーは、『暗い明日の空の上で』という映画の主役となる。監督ともうひとりの主役と制作を行っていく。ただし、この映画は呪われている点があり、徐々に不可解なことが起こっていく。

インランド・エンパイア

インランド・エンパイア

ローラ・ダーン, ジェレミー・アイアンズ, ジャスティン・セロー, ハリー・ディーン・スタントン
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あえて筋を整えて理解するのが不毛

・2006年製作のアメリカ合衆国・ポーランド合作映画。

・2007年度全米批評家協会賞 実験的映画賞受賞。

・リンチ本人は映画の事を「トラブルに陥った女の話」(about a woman in trouble)とだけ語っている。

・監督の頭の中にはおおよその考えはあったようだけど、まとまった脚本無しで撮影に挑んだため、リンチ本人ですら製作中のインタビューで「この映画の全体がどの様に明らかになるのかは私にも分からない。」というような事を述べている。撮影中は監督が毎朝各役者に数ページの書きたての台本を渡していた。

・リンチが好きな時に俳優を呼んで自分でカメラをまわしその断片を繋げていくという製作方法だったため、製作期間は2年半にも及んだ。そのため製作会社が資金提供を渋り、結果的にほぼ自主制作映画のような形になってしまった。

・デヴィッド・リンチは一時期この映画のPRをハリウッドの路上で牛を連れておこなっていた。

・その映像はデヴィッド・リンチの運営する会員制サイトdavidlynch.comで公開された『Rabbits』の一部が作品内で使用されている。

・この『Rabbits』にはなどが出演してるけど、兎のかぶりものを被っているので見分けが付かない。

・さて、5年ぶりの新作映画なんですが、基本プロットは前作「マルホランドドライブ」に近い物がある。

・そのため、既視感を感じるのだが、実際そんな二番煎じをリンチがやるのだろうか?

・仮に二番煎じとした場合、「マルホランドドライブ」を越えた作品に感じられない。

・前作との違いは、明らかに混沌とした演出にある。

・今作は5つの現実と夢が織り交ぜられ、非常に難解になっている。

・難解ながらも理解しようとする為に、頭の中で整理をしようとする行為が余計に混乱を招く。かといって、感じるままに観た場合は「なんのことやら」状態となる。

・いくつかのポイントがわかれば、さほど難しい映画では無いと思われるが、そのポイントとは「ウサギの部屋の意味」「部屋で泣いている女性」この2つだろう。

・個人的には「ウサギ部屋=夢と現実を操作する神のようなもの(ブラックロッジみたいなもんか?)」

・「部屋で泣いている女性=おそらく主人公」。ローラダーンは「部屋で泣いている女性」の願望が作った人物に思われる。

・つまり「部屋で泣いている女性」の回想記の映画であると。

・ともかく明確な回答がリンチにすら無いような映画なので、あえて筋を整えて理解するのが不毛なのかの知れないけど、やはり理解したい、彼の脳内世界を。

・なお、エンディングまでは3時間という非常に長い映画である。

・しかしながらエンディングは必見だ。

・素晴らしい出来のエンディングだ。

https://youtube.com/watch?v=PN4HQEvc4BQ

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