作品紹介
【監督・脚本】𠮷野竜平
【原作】佐野広実
【出演】吉岡里帆/奈緒/風吹ジュン/美保純/酒井若菜/ファーストサマーウイカ/佐月絵美/北村匠海/原嘉孝/清水尚弥
【あらすじ】主人公 紀子は、日常的に暴力を振るう夫から逃げてきた女性。入院先の看護師・路子に救われ、配偶者や親から暴力を受けた女性たちを匿うシェルター〈おうち〉で暮らし始めるが、食事や掃除など、暮らしのすべてが「持ち回り」というルールで成り立っていた。
公式サイト
吉野竜平監督のまとめかたに期待
吉野竜平監督は、大学在学中から映画製作を始め、2012年「あかぼし」で長編映画監督デビューしています。2018年「四月の永い夢」では、中川龍太郎監督と共同制作をしています。
吉岡里帆は、京都太秦生まれで、芸術文化に親しみながら学生時代を過ごし、高校3年のときに、『天地明察』のエキストラ出演をします。その後、演劇の世界に触れ、18歳のときに、唐十郎の『吸血姫』で主人公を演じ、徐々に芸能の世界にのめり込み、2013年より女優としての活動を始めますが、グラビアやミュージックビデオの出演が多くなります。2015年『マンゴーと赤い車椅子』で映画デビューをし、テレビやドラマで活躍をしています。
奈緒は、高校1年のときに地元福岡でスカウトされ、芸能活動を開始しています。2013年にテレビドラマに初出演し、2016年『雨女』で映画初出演をしています。2017年までは、本田なおで活動をしていましたが、姓名判断より本名の「奈緒」と芸名を変更して以来、仕事が増えたとのことです。2019年『のの湯』では、テレビドラマ初主演を努めています。尊敬する女優は田中裕子。
物語は、配偶者や親からの暴力から逃げてきた女性たちが、シェルターと呼ばれる共同生活の場所で生活をしていくうちに、そこで行われている組織的犯罪に実態を知っていくストーリーです。
一見すると、傷ついた女性たちが安心して暮らせる場所なのですが、そこには独自のルールが存在しています。そして、紀子が少しずつその場所に違和感を覚えていくことで、穏やかだった日常がサスペンスへと変化していきます。([映画『シャドウワーク』公式サイト|9.25 FRI 全国公開][1])
本作で興味深いのは、単純な犯罪サスペンスとしてだけではなく、「暴力から逃れるために、人はどこまでの選択をするのか」という部分が描かれているところです。
〈おうち〉は女性たちにとっての避難場所である一方、そこには通常の社会では簡単に受け入れられない秘密も存在しています。
そのため、「正しいこと」と「生きるために必要なこと」が必ずしも一致しない状況の中で、登場人物たちがどのような選択をするのかが大きなポイントになりそうです。
また、刑事・薫を演じる奈緒の存在も気になるところです。
紀子が〈おうち〉の内側から秘密に近づいていくのに対して、薫は事件を追う側として〈おうち〉へと近づいていきます。この二人の視点がどのように交差していくのかにも注目したいところです。
さらに、風吹ジュン、美保純、酒井若菜、ファーストサマーウイカ、佐月絵美、北村匠海、原嘉孝、清水尚弥など、個性的なキャストが揃っている点も魅力です。特に北村匠海は、これまでとは少し違った役柄に挑戦しているようで、その演技も気になるところです。([映画『シャドウワーク』公式サイト|9.25 FRI 全国公開][1])
一方で、本作は「シェルター」「DV」「犯罪」「刑事捜査」など複数の要素を扱っているため、それらをどのように一本の物語としてまとめているのかは気になるところです。
設定そのものにはかなり強いインパクトがありますので、設定の面白さだけが先行してしまうと、登場人物の心情が置き去りになってしまう可能性もあります。
逆に、女性たちがそこに集まった理由や、それぞれが抱えている事情までしっかり描かれていれば、単なるサスペンス以上に人物ドラマとしても見応えのある作品になりそうです。
予告編からも、静かな日常と緊迫したサスペンスが大きく切り替わっていく印象があり、映像や演出によってどこまで緊張感を高めているのかも気になります。7月に公開された本予告では、〈おうち〉に隠された秘密と、女性たちが迫られる「極限の決断」が描かれています。([映画『シャドウワーク』公式サイト|9.25 FRI 全国公開][2])
また、主題歌にはharuka nakamuraが手掛け、Meadowが歌う「tiny end」が起用されています。静かな雰囲気の楽曲が作品の世界観とどのように重なるのかも楽しみなところです。([映画『シャドウワーク』公式サイト|9.25 FRI 全国公開][2])
全体としては、かなり重いテーマを扱った作品ではありますが、単純に暗いだけの作品ではなく、「人間が生きるために何を選択するのか」という部分をサスペンスとして描いている作品になりそうです。
吉岡里帆と奈緒という二人の主演が、同じ作品の中でどのような緊張感を生み出しているのかも含め、劇場でじっくり観てみたい作品です。
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