作品紹介
【監督】富名哲也
【出演】小松菜奈/松田龍平/大竹しのぶ/片岡千之助/石橋静河/田中泯/内田也哉子/森山開次/辰巳満次郎/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公の女は、佐渡島の金山跡地で目覚める。記憶を失っていることで、清掃員のキイという女性に助けられ、ミドリと名付けられる。その後、その場所で清掃員として働き始めるが、警備員のアオと出会い過去を知っていく。
説明が少ない点はむしろ本作の魅力でもあり
富名哲也監督は、2018年『ブルー・ウインド・ブローズ』で初長編映画監督となり、第68回ベルリン国際映画祭ジェネレーション・コンペティション部門とBerlinale Goes Kiezに選出されています。2024年「わたくしどもは。」が長編2作目となり、第36回東京国際映画祭コンペティション部門にてワールドプレミアとして上映されています。
小松菜奈は、モデルとして雑誌で活躍後、中島哲也監督の「渇き」で 映画デビューしています。2016年にはシャネルのブランドアンバサダーを務めたことのある女優です。
松田龍平は、父親に松田優作を持ち、1999年『御法度』で大島渚監督からの直接要請がされ、一度は断りながらも、見事、主演を演じきって俳優デビューをしており、尊敬していた浅野忠信の作品に影響を受け、徐々に出演作を増やしてきています。主演でも脇役でもとても印象の残る俳優でもあり、『あまちゃん』でのミズタクで一般的な人気を博しながらも、一貫して仕事のスタンスは変わらないように見え、映画やドラマで出演していれば、安定の内容が約束されている、そんな不思議な俳優かと思います。
物語は、記憶を失った女性が、助けられた一家とともに生活をしていくうちに、記憶を失った警備員の男と出会い、過去と運命を知っていくストーリーです。
序盤からとある森の中の舞台のような場所で2人の人物が面と向き合います。
「生まれ変わったら、今度こそいっしょになろうね」
と言って、投身自殺と見えるような演出となっています。
序盤のみで、本作が淡々とした内容で、多少行間を読み取る必要のある感じの作品ということがわかります。
女性はとある施設で目覚め、そこで清掃員の女性と出会い、徐々に自分の置かれている状況を理解していきます。
主人公を助けた清掃員は大竹しのぶが演じており、だいたいのストーリーの流れを紡いでくれます。
状況がわからないまま、清掃員キイの家族らしき人は、クロとアカがおり、主人公はミドリと名付けられます。
ミドリは記憶喪失でもあり、その状況で別の男性と出会い、名無しということで紹介を受けますが、序盤で登場した二人だとわかります。
夢か現実なのかわかりにくい展開ですが、今いる世界自体がどうも夢の世界を描いているような印象があります。
全体的に説明が抽象的でもあり、演出自体も淡々としているところがあるので、本作の流れを掴むのがちょっと難解ではあります。
中盤でさらに、ムラサキという女性が現れ、淡々とした人間関係ながらさらに、淡々と複雑になっていきます。
説明が少ない点はむしろ本作の魅力でもあり、行間を読み取るしかないところは、雰囲気映画とも言えますが、最後まで見れば、本作の内容とどういう世界観はわかるところで、勘の良い人は序盤で概ねの世界観は理解できるのかと思います。
本作の制作のきっかけは、佐渡ヶ島の金山で過酷な労働で命を落とした無国籍者を埋葬した墓地の存在から着想をえており、監督は以下の内容を語っています。
「この社会に無宿人と無国籍者は記録上存在していない。だからこの世を去っても認められないままに、無宿人と無国籍者の魂は報われることのないまま彷徨い続けている。彼らの存在を蔑ろにしないためにも、このことをテーマにした映画を作りたかった」
予告編
関連商品

