作品紹介
【監督】マーク・フォースター
【出演】トム・ハンクス/マリアナ・トレビノ/マヌエル・ガルシア=ルルフォ/レイチェル・ケラー/ケイリー・ハイマン/キャメロン・ブリットン/Elle Chapman/ケリー・ラモア・ウィルソン/ラヴェル・シュリー/ジョセフィーン・リンデゴーア/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 オットーは、街の嫌われ者で、曲がったことが許せず、近寄りがたい人。オットー自身は、人知れず悩みを抱え、自殺をしようとしていた。
サブスクで観る
オットーの言葉の節々に名言があり
マーク・フォースター監督は、ドイツの監督で、12歳のときに『地獄の黙示録』を観て映画監督を将来と夢としています。1995年「Loungers」で監督デビューをし、2001年「チョコレート」でドラマ性の高い作品で評価と受けています。2004年「ネバーランド」でゴールデングローブ賞の監督賞にノミネートされています。その後、「007 慰めの報酬」「ワールド・ウォーZ」などの作品を手掛けています。
トム・ハンクスは、1980年『血ぬられた花嫁』で映画デビューをし、全米長寿バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライブ』などでも活躍するコメディアン的側面を持ちながらも、『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』などでアカデミー主演男優賞を受賞しており、名実ともに兼ね備えた俳優です。
物語は、非常に偏屈な主人公が、街の中で厄介者とされてくるも、主人公自体の悩みもあり、苦悩する日々を送るなか、陽気な女性のいる一家が引っ越してきたことで、徐々に主人公の人生が変わってくるストーリーです。
序盤から、スーパーで買い物をするオットーが描かれますが、このときに選んでいるのものは太いロープでもあり、その使い道はすぐに分かります。
ロープを買うにしても、オットーの偏屈さで若干トラブル感もあり、オットーのキャラクター感もわかります。
朝起きて身支度をするシーンでも、サラッと食器が2つあることで、ちょっと布石があります。
オットー自体の周辺は、徐々に語られていく手法でもあり、オットーが偏屈な理由も、そのことで、周囲の人とと馴染めないところもわかってきます。
きっかけは、マリソルという女性との出会いとなりますが、中盤での車の運転を教える流れにはかなりぐっとします。
「君はそんな馬鹿じゃないからだ。」
車の運転を教えて、マリソルが新しい国で生きていくために、オットーは親切に説明してくれますが、いままで描かれてきた、他者から見たオットーの人物像とはちょっと異なるところもあり、序盤の偏屈なオットーとはちょっと違う一面が見られます。
「彼女こそ、命だった」
「でも、ソーニャは生きろと言っている気がする」
何度も自殺をしようとするオットーには毎回邪魔が入り、自殺をとどまることになりますが、なぜ自殺をしたいのかと、なぜ自殺を躊躇してしまうのかの間で苦しんでいたオットーの内面がわかることで、徐々に緩徐移入ができるようになってきます。
最後にオットーの手紙でとてもグッときます。
「なぜなら、きみはバカじゃないから」
なんとなく、1996年「フェノミナン」を感じてしまうところもありますが、本作では特殊な能力が出てくるわけでもなく、普通の男性の物語でもあり、過去に何があったかがわかっていくことで、主人公に感情移入ができるようになっています。
オットーの言葉の節々に名言があり、ドラマとしてしっかりと締めくくられているところも良く、広くおすすめしたい作品でもあります。