作品紹介
【監督】ブライアン・シンガー
【脚本】クリストファー・マッカリー
【出演】スティーヴン・ボールドウィン/ガブリエル・バーン/チャズ・パルミンテリ/ケヴィン・ポラック/ピート・ポスルスウェイト/ケヴィン・スペイシー/スージー・エイミス/ベニチオ・デル・トロ/ジャンカルロ・エスポジート/
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】カルフォルニアの埠頭で麻薬密輸船が爆破される。その事件で27名が死亡し、9100万ドルがなくなった。その事件で生き残ったキントは警察から尋問を受ける。
サブスクで観る
最後まで観たあとにもう一度見直したくなる映画として、一級品の作品
ブライアン・シンガー監督は、1993年「パブリック・アクセス」で映画初監督をし、1995年「ユージュアル・サスペクツ」で非常に高い評価を得ています。その後、「X-メン」「スーパーマン リターンズ」「ワルキューレ」「ボヘミアン・ラプソディ(途中降板)」などを制作しています。
ケヴィン・スペイシーは、スタンダップ・コメディアンとして活躍後、1981年に舞台デビュー、1986年『心みだれて』で映画デビューをしています。1995年「セブン」で高い評価を得たあと、1995年「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー助演男優賞を受賞しています。1999年『アメリカン・ビューティー』でアカデミー主演男優賞を受賞しており、いぶし銀のような卓越した演技の俳優です。
本作で、クリストファー・マッカリーはアカデミー脚本賞、ケヴィン・スペイシーはアカデミー助演男優賞を受賞しています。後に、クリストファー・マッカリーはミッション:インポッシブルシリーズの監督としても活躍しています。
物語は、麻薬密輸船が爆発し、多くの死者が出て、現金9100万ドルがなくなる。唯一の生存者 キントに対して、警察は事件の尋問をしていくうちに、伝説の黒幕であるカイザー・ソゼの存在が浮かび上がり、カイザー・ソゼが何者かを突き止めていくストーリーです。
序盤から、船上で事件が起こった現場が描かれ、船が炎上するシーンが描かれます。
本作は、この事件の経緯を刑事クイヤンとその容疑者キントが事件を回想しながら、カイザー・ソゼという人物の謎に迫っていく展開です。
オープニングの船上での事件のあとに、時間が遡り、この事件が決行されるまでの流れが描かれます。
過去の回想の話をしながら、容疑者のキントと刑事のクイヤンが事情聴取をし、その経緯が物語の主軸となります。
すでにオープニングで起こったことを遡り、時系列順に物語を回想し、描かれていきますが、序盤の展開としてはよくあるパターンの回想型の内容となります。
事件の関係者は、5人の男であり、容疑者として余罪で警察に拘束されます。
よく容疑者として捕らえられている前科者の集まりであり、その5人のキャラクターも、しっかりと説明されるので各キャラクターが明確に理解できます。
ベニチオ・デル・トロがその容疑者の1人ですが、現在と比べて、非常に悪そうな顔をしており、妙に印象の残るキャラクターとなっています。初見では、現在のベニチオ・デル・トロの印象があるので、ベニチオ・デル・トロと気が付かないところもあります。
しかし、その拘束には意図があり、カイザー・ソゼからとある麻薬密輸の仕事を依頼されることになります。
カイザー・ソゼの代理人として、コバヤシという人物が登場し、謎の人物カイザー・ソゼの指示を指定されますが、すでに5人の素性は調べ上げられており、カイザー・ソゼの恐ろしさを間接的に描かれていきます。
中盤で、カイザー・ソゼの伝説からその素性を探るようになりますが、コバヤシというキャラクターが非常にくせ者でもあり、交渉術が非常に巧妙でもあります。
こういう会話のからくりで物語の深みへハマっていくようなところになります。
カイザー・ソゼ自体は回想シーンで、顔や姿が出てきますが、あくまで回想ではあるので、実際の人物とは異なる風貌となります。
ここが、本作の巧みなところであり、ミスリードだらけの展開が後々わかってきます。
本作のすごいところは、その回想自体のトリックでもあります。
回想自体にもなんの問題点も見えてこないため、観ているうちにキントの説明に非常に引き込まれるところがあります。
最後にアッと思わせるからくりがわかりますが、この流れがとてもすごいです。
これは観てもらうのが一番良いです。
最後まで観たあとにもう一度見直したくなる映画として、一級品の作品です。
「ソゼのすごいところは自分の存在を謎にしたことだ」