作品紹介
【監督】大友啓史
【脚本】古沢良太
【出演】木村拓哉/綾瀬はるか/宮沢氷魚/市川染五郎/斎藤工/北大路欣也/伊藤英明/中谷美紀/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】戦国時代の武将、織田信長の人生を、今までとは全く違う視点で描いた作品。織田信長と濃姫を中心に描いた激動の30年。
サブスクで観る
もうちょっと狂気じみたことのできる俳優のほうが良かったのかも
大友啓史監督は、NHKで様々な番組を手掛け、2007年「ハゲタカ」でドラマ界に衝撃をもたらし、評価されます。その後、大河ドラマ『龍馬伝』も手掛け、独特な演出で注目される監督です。
脚本の古沢良太は、『アシ!』で第2回テレビ朝日21世紀新人シナリオ大賞を受賞後、様々な作品に関わり、「キサラギ」「ALWAYS 三丁目の夕日」「リーガル・ハイ」等の脚本を務めています。特にオリジナル脚本も書くことがあり他の脚本家と比べても独特な内容の物語をつくります。
木村拓哉は、元SMAPでジャニーズ事務所のタレントですが、非常に高い人気を維持しており、ヒット作も数え切れないほどあります。
綾瀬はるかは、2000年第25回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し芸能界デビューをしています。2001年『金田一少年の事件簿』でTVドラマデビューをし、2002年「Jam Films『JUSTICE』」で映画デビューをしています。司会業や歌手としても活躍しており、多彩な才能を持ちながらも、天然の明るさのある女優です。
東映70周年記念作品。
物語は、戦国時代、魔王と呼ばれ恐れられた織田信長と濃姫を中心に戦国の世を駆け抜けたストーリーです。
序盤からまだ若い頃の織田信長のうつけ者的なところが描かれ、その頃の時代から物語は始まります。
その後、政略結婚として、濃姫と結婚をしますが、信長が濃姫と結婚するのは、1549年のことであり、15歳という年齢となります。
15歳の年齢を演じる木村拓哉は、当時50歳くらいだと思いますが、意外と、違和感なくうつけを演じています。
鷹狩で崖から落ちてしまう等、うっかり感もあり、信長のイメージ的にはなんとなく、ジワジワします。
逆に濃姫の言動には、信長に引けを取らない印象でもあり、本作の筋として、濃姫と信長が中心となる物語は、わかりやすいところがあります。
木村拓哉の演技的な幅の狭さがあるのがわかりやすく、むしろ、綾瀬はるかの演技には、深さがあるように思います。
「一人で昂ぶっても、冷めてまうわ」
ということで、妙に綾瀬はるかの演技とその立場としての振る舞いに良さが見えます。
序盤の山場は、桶狭間での戦いであり、それは、有名な史実でもありますが、わかりやすい解釈でその行く末を描いています。
第六天魔王を名乗るところがありますが、もうちょっと狂気じみたことのできる俳優のほうが良かったのかもしれません。
そういう点では、本作の主演2人の限界点ではあるように思います。
中盤以降から徐々に物語のペースが遅くなりますが、アオスジアゲハが出てくることで、本作の題名の関係性が出てきます。
中盤まで観て思うことは、本作の脚本は、古沢良太でありながら、さほど古沢良太の良さが見られない点であり、様々な作品でヒットをしている古沢良太ですが、作品のクオリティの振れ幅が大きいような印象がわかります。
終盤の本能寺のシーンがガッツリと時間をかけている感じですが、このあたりは、本作を見てもらうほうが良いです。
人により感想が変わる点は、このあたりでもありますが、ある意味、広い心持って観るのが良いかと思います。
伊藤英明が、福富平太郎貞家という武将で出演していますが、やはり主役を喰うほどの存在感を出すとまずいので、伊藤英明ファンにはやはり彼の主演作を見たほうが良いと思います。
史実上では、数え年では49歳で亡くなっています。現在の木村拓哉も同じくらいの年齢でもあり、過去のTBSドラマ版とは違う魅力を魅せてくれるのかと思います。