【監督】ヨナス・ポヘール・ラスムセン
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 アミンは、アフガニスタンで生まれ育った少年。ある日、父親が当局に連れて行かれ帰らなくなってしまう。そのことで、祖国を抜け出し、デンマークへ亡命をする。
亡命ということがどうなっていくのかがわかりやすいところ
・ヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は、デンマークの監督で、ドキュメンタリー作品を手掛け、2012年『Searching for Bill』で長編映画デビューをしています。その後、2022年「FLEE」で高い評価を得ており、今後の活躍が期待できる監督です。
・原題の「FLEE」とは、「〔危険などから〕逃げる、逃れる 」という意味のある言葉で、本作では、危険な状態である祖国を脱して、亡命をしていくというところになります。
・物語は、主人公の少年が過去を振り返り、祖国アフガニスタンから亡命をしていくことを回想しながら進んでいくストーリーです。
・序盤から、アニメーションで、祖国から亡命したことを語り始めるシーンから始まります。
・基本的にはアニメーションではありますが、一部、実写が使われていることで、現実感のあるドキュメンタリーの要素を残した演出となっています。
・なお、主人公の名前もプライバシーの問題から、仮名となっており、アニメーションも活用していることで、ドキュメンタリーとプライバシーのどちらも守っています。
・この演出は過去にはなかなか見られないところであり、アイデアが良いところでもあります。
・祖国を離れるということは、日本ではあまりピンと来ないところではありますが、紛争が常に発生している国などでは、やはり亡命する人は多いところでもあり、生き抜くために、過去の自分を捨てて、他国で生活を始めるというのは実際に地球上の一部の国で起こっている現実でもあります。
・妙に細かいところまで、物語内で描かれていくので、亡命ということがどうなっていくのかがわかりやすいところもあります。
・序盤はちょっとしんどいですが、徐々に主人公アミンの境遇が理解できてくるので、このあたりも描き方が秀逸でもあります。
・亡命以外の問題にも触れられており、近年での社会的問題の縮図となっている印象もあります。
・内容は重たいところはありますが、アニメーションで描かれているという点で、まだ、間口は低く設定されている良作と言えます。