作品紹介
【監督】ジョーダン・ピール
【出演】ダニエル・カルーヤ/キキ・パーマー/スティーヴン・ユァン/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】とある田舎町で広大な牧場を経営していたヘイウッド家であったが、ある日、謎の現象を期に不思議な未確認飛行物体と遭遇するようになってくる。
サブスクで観る
無駄なシーンはなく、すべてのちょっとしたことまでが、内容に関わっている
ジョーダン・ピール監督は、コメディアンの道に進みコメディ番組を制作していましたが、脚本を執筆し、自らが映画監督をした監督デビュー作「ゲット・アウト」が評判となり、アカデミー脚本賞を受賞しています。
ダニエル・カルーヤは、演劇の脚本を9歳より執筆し、その後、俳優としてデビューしています。2006年「Shoot the Messenger 」で映画初出演をし、その後、2017年「ゲット・アウト」で高い評価を得ています。2021年「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」では、第79回ゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞しており、今後の期待できる俳優です。
物語は、黒人が経営する広大な農場にある日未知なる存在が現れ、一家がトラブルに巻き込まれていくストーリーです。
序盤から状況がよくわからない描き方ですが、部屋に誰かが倒れているところにチンパンジーがいるというところがプロローグとなりますが、初見ではまったく意味がわからないです。
そこから、牧場の風景が描かれ、ヘイウッド家の人らが仕事をしているのがわかります。
アメリカらしい雰囲気なので、広大な土地にある牧場です。
ガラケーらしきものを使っていますが、これだけ広大の土地でも電波は届くようです。
空から降ってきたなにかで父親が死んでしまうのですが、致命傷となるのは、硬貨だったことがわかり、他にも馬に鍵が刺さっていることが描かれます。
2つの物語が序盤で描かれますが、これが後々関連してくることとなります。主人公は、OJという黒人で、他に妹のエメラルド、撮影監督 ホルスト、テーマパーク「ジュピターズ・パーク」のオーナー ジュープ、技術セールスマンのエンジェルなどが主な登場人物です。
断片的だった点は、序盤でだいたいつながってきます。
実は本作のほとんどのシーンはほぼ意味があります。なにげないシーンでもかなり計算されている内容となっており、余計な要素がほぼない位に作られています。
序盤はちょっと退屈ですが、かなりの伏線が引かれています。
予告編で大体わかるような感じに見えますが、未確認飛行物体らしきものには想像を超えるような要素があります。この点については、観た人の予測以上のことがあるので、予告で興味を持った人には間違いなくオススメできます。
多少物語を説明すると、その未確認飛行物体に対して、映像を撮影することでお金になるということでの行動原理となり、いわゆるSFミステリーとはちょっと違う展開となります。
中盤から、未確認飛行物体の性質とそれに対する対抗手段を考えていくところはいままでのSF昨日と比べるとちょっとおもしろいです。
チンパンジーの事件は、1998年に起こったことがわかります。つまり時間軸的には複数の時間軸があり、登場人物も時間の経過で成長していることになります。
ミスリードするような恐怖表現もありますが、もう一度見返すと、ホラー要素はさほど用意されていないことがわかります。
むしろ、恐怖というよりも、その現象が引き起こしただけのこととも言えます。
中盤を越えたあたりでの夜のシーンで現象は、まさしく観ている側の想像を脅かしながらも、さらにその斜め上の展開となるところが秀逸です。
得体のしれない何かを映像に残すということを実行する終盤は、とてもおもしろくできており、本作の序盤の雰囲気からは想像つかない展開となっています。
計画に使う道具が、モノポリーのコマだったりするのも良いです。
バイクが横滑りするシーンは、映画「AKIRA」の引用なのかもしれません。
スティーブン・キング的な風呂敷の広げっぷりを、きっちりと期待に応えるような展開でまとめてくるジョーダン・ピール監督作品は、3作目にして盤石な完成度に仕上げてくることをしっかりと証明しているようにも思え、次回作もどういう手法で描いてくるのかが非常に気になる監督となりっます。
とにかく、無駄なシーンはなく、すべてのちょっとしたことまでが、内容に関わっているところがあり、もう一度見返すことで、本作の丁寧な完成度がよくわかります。
予告編
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