【監督】レジス・ロワンサル
【出演】ランベール・ウィルソン/オルガ・キュリレンコ/アレックス・ロウザー/シセ・バベット・クヌッセン/リッカルド・スカマルチョ/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】世界待望のミステリー小説「デダリュス」の第3作の完結編を各国同時発売を行うため、9人の翻訳家がフランス郊外の洋館に集められる。完全に外界と遮断した上で翻訳を開始するが、冒頭10ページが流出する事件が起こり、お金を払わなければ、残りのページも流出させるという脅迫事件が起こる。
退屈にならない演出で良作
・レジス・ロワンサル監督は、1998年『Madame Dron』で映画監督デビューをしています。その後、ドキュメンタリー作品やPVを手掛け、2012年『タイピスト!』で長編映画監督デビューをしています。
・ランベール・ウィルソンは、1977年「ジュリア」で映画デビューをし、2003年「マトリックス・リローデッド」のメロヴィンジアン役を演じています。歌手としても活躍しています。
・オルガ・キュリレンコは、ウクライナ出身の女優で、ファッションモデルとしてキャリアを積み、2005年『薬指の標本』で映画初出演をしています。2005年007シリーズ第22作目『007 慰めの報酬』でボンドガールも務め、様々な作品に出演をしています。
・アレックス・ロウザーは、16歳で舞台俳優として デビューしています。その後、2014年『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で注目され、ドラマや映画で活躍しています。
・物語は、世界的人気作「デダリュス」の完結編の世界同時販売を目指し、とある洋館で軟禁されながら、翻訳を行うが、厳密に管理していながらも、原作の流出が起こり、脅迫事件へと発展する。その事件の犯人は9人の中にいると考えたアングストーム社長は、9人に対して、犯人探しを始めるストーリーです。
・序盤は、とある火事の映像から始まりますが、これは本作のしっかりとした布石となります。
・そして、世界的な注目作「デダリュス」の完結編の世界同時発売を発表するアングストーム社長の演説があり、そこから、集められた9人の翻訳家が軟禁されつつも、翻訳活動を開始します。
・本作は、「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズのダン・ブラウン第4作目「インフェルノ」の翻訳の際に実際に行われたことをヒントに制作された映画です。
・その2ヶ月後に刑務所で対話をする社長が出てきます。
・対話の相手はわからないという演出ですが、中盤以降で、それがわかってきます。
・ここにも、ミスリードがあり、演出がうまいです。
・集められた9人の翻訳者は、それぞれ得料があり、人物の個性があるので、それぞれの立場はとても理解しやすくできています。
・ロシア語、イタリア語、デンマーク語、スペイン語、英語、ドイツ語、中国語、ポルトガル語、ギリシャ語の翻訳者が登場しており、日本語はやはりマイノリティなのだとわかります。
・この言語の違いは中盤以降にちょっとだけ布石がありますが、字幕版で本作を観ている場合は、ちょっと理解がややこしいかもしれません。
・中盤以降は種明かしとなっていきますが、そのトリック自体も、何度かミスリードが仕掛けられており、終盤まで一気に観られます。
・多少、突っ込みどころもありますが、日本製のコピー機がすごいということはよくわかります。
・105分という時間でサクッと観られるミステリーでもあり、フランス・ベルギー合作の映画でもありますが、退屈にならない演出で良作かと思います。