【監督】石井裕也
【出演】池松壮亮/チェ・ヒソ/オダギリジョー/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 青木剛は、妻を病気で亡くし、一人息子の学とともに、疎遠となっていた兄の居るソウルに渡航する。兄を頼ってソウルに来たもののその日暮らしの兄の姿に戸惑いながらも、ソウルでの暮らしを始める。
ロードムービー感があるので、万人に理解できるかといえば、賛否の分かれる作品
・石井裕也監督は、2005年『剥き出しにっぽん』を卒業制作として発表し、評価されています。2009年「川の底からこんにちは」で評判となり、第53回ブルーリボン賞監督賞を史上最年少で受賞しています。2013年『舟を編む』では、第86回アカデミー賞外国語映画部門日本代表作品に選ばれており、世界的にも評価されています。『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『生きちゃった』『茜色に焼かれる』など、話題作を多数手掛けています。
・池松壮亮は、「ラストサムライ」での出演から、子役として活躍し、現在では多数の作品で印象的な演技で定評のある役者です。
・オダギリジョーは、2000年『仮面ライダークウガ』のオーディションで選ばれ、テレビデビューをしています。その後、2003年「アカルイミライ」で映画主演を果たし、カンヌ映画祭にも出品されています。『血と骨』『オペレッタ狸御殿』『メゾン・ド・ヒミコ』など多数の作品に出演し、評価されています。
・物語は、妻を亡くした主人公が、息子と2人で兄を頼ってソウルへ行くが、そこでは、その日暮らしの兄がおり、日々の生活に戸惑いながらソウルで生活していくストーリーです。
・石井裕也監督の『茜色に焼かれる』でも、社会的な問題を織り交ぜた作品があり、本作も、日本と韓国の関係性を描いた上で、日本という国で起こっている社会問題もメッセージには込められていると思います。
・本作は、ソウルを舞台としたオール韓国ロケの作品です。
・見方を変えると、日本に仕事を求めてやってきた中国やベトナムの人々と似たような錯覚があり、衰退国となっている日本という国を考えると、近い未来に、外国に生活の主軸を移す人が増えてくるのも予見したような作品の印象をうけます。
・オダギリジョーのオダギリジョー感はいつもながら、素晴らしいところがあり、この信頼できるようで、まったく信頼できず、頼れそうで、まったくのヘタレというキャラクター性ながら、結局はその要素があるからこその魅力が非常に強いです。
・隣の国でもある韓国も、地域差を感じるところがあり、韓国に抱いているイメージも、地方都市を描いていることで、必ずしも、裕福ではないところを感じさせます。
・日本も、海外から見れば、発展国のように見えますが、やはり、地方へ行くとその限りではない点を感じます。
・本作品の評価は今すぐにではなく、数年後を予見するような感じもあり、社会的メッセージという点では、一味違う作品に思います。
・まとめ方としても、しっかりとした落とし所になっていますが、ロードムービー感があるので、万人に理解できるかといえば、賛否の分かれる作品かと思います。
・池松壮亮の魅力がちょっと足りなかった印象はありますが、そういうスタンスな役どころではあるので、これもこれで良いのかと思います。