作品紹介
【監督】河合勇人
【脚本】林民夫
【出演】舘ひろし/宇崎竜童 ほか
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 南条弘は、70歳を迎えた大御所俳優。かつてのライバルとの関係や、年齢を重ねても若い頃の自分を忘れられない男の姿を、コメディタッチで描いた作品。
いつまでも若い頃の自分を忘れられない男のコメディとして
河合勇人監督は、相米慎二、堤幸彦、本広克行、黒木和雄、崔洋一などの監督の助監督として映画を学び、2008年『花影』で長編映画監督デビューをしています。テレビや映画の演出を数多く携わっています。
舘ひろしは、1976年『暴力教室』映画デビューをし、その後、『男組 少年刑務所』で主演も演じています。テレビドラマ『西部警察』で渡哲也と出会い、タツというキャラクターと、ハトというキャラクターの別人役で登場しています。その際に、石原プロモーションに所属をしています。2007年『パパとムスメの7日間』でテレビドラマ出演をし、新境地も開いています。2021年石原プロモーションが解散したことで、新たに館プロを設立しています。
物語は、主人公の大御所俳優が、若い頃の自分の振り返りつつも、免許返納をせざるをえなくなり、免許を返納したことで、俳優業を見直していくストーリーです。
序盤から、大型バイクを走らせる南条弘の姿が描かれます。しかし、これは45年前の映画をDVDで振り返っているシーンです。
併走しているのは、尾崎誠役を演じる宇崎竜童で、南条弘の70歳を祝う会でも、かつてのアクション映画をもう一度演じたいという思いを感じさせるような言葉を残します。
主人公の南条弘を演じるのは舘ひろしで、CGによって若く加工された姿も登場しますが、さほど違和感はありません。過去の映像を振り返るという演出もあり、70歳になった今でも、弘と誠がライバル心を燃やしているところが、本作のコメディの布石になっています。
本作で描かれるのは、年齢を重ねても若い頃の自分にしがみつき、いつまでも同じことが続くと思っている男の姿です。
誰しも、年齢を重ねれば若い頃と同じようにはいかなくなるものですが、自分自身ではなかなか変化を受け入れられないところもあるのかもしれません。そんな人間の心理を、かつてのアクション映画という題材を通して、コミカルに描いているところがポイントです。
本作は、1994年公開の『免許がない!』の続編というわけではありませんが、同じ配役と役名を用いた作品となっており、以前の作品を知っている人にとっては、懐かしさを感じられる部分もあるのではないでしょうか。
なお、『免許がない!』では明石知幸が監督を務め、森田芳光が脚本を担当していました。一方、本作では河合勇人が監督、林民夫が脚本を担当しています。同じ役名を引き継ぎながらも、制作陣が変わっている点は興味深いところです。
中盤を過ぎたあたりでは、舘ひろしの持ち歌である「泣かないで」を本人が歌唱する場面も登場し、ここまでくると、もはや舘ひろしのプロモーションビデオを観ているような感覚にもなりますが、これも本作ならではの楽しみ方なのかもしれません。
長年にわたって俳優として活躍してきた舘ひろしの魅力を、作品の中で改めて楽しめる構成になっています。
若い頃に活躍した人ほど、過去の成功や自分のイメージを大切にしたいというところもあり、周囲の環境も自分自身も、少しずつ変わっていきます。そんな現実を受け入れられず、いつまでも若い頃と同じように振る舞おうとする姿には、滑稽さとともに、どこか身近なものを感じます。
舘ひろしの魅力を前面に押し出した演出も多く、ストーリーそのものをじっくり味わうというよりは、出演者の存在感や懐かしさを楽しむタイプの作品という印象もあります。
それだけに、舘ひろしのファンはもちろん、かつてのアクション映画に親しんできた人であれば、また違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。
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