作品紹介
【監督】坂下雄一郎
【出演】芳根京子/髙橋海人/西川愛莉/武市尚士/中沢元紀/林裕太/石川瑠華/前野朋哉/前原滉/ふせえり/大塚寧々/赤堀雅秋/片岡礼子/山中崇/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 坂平陸と水村まなみは、プールに一緒に落ちたことで心と身体が入れ替わってしまった高校生。お互い、入れ替わったことを周囲に隠したまま生活をし、30歳になったときにもとに戻る方法がわかったかもしれないと話す。
多分、本作は賛否が分かれる作品なのかと思いますが
坂下雄一郎監督は、学生時代から映画に関わる仕事をし、2010年「実家に帰ろう」で映画監督デビューをしています。2011年「ビートルズ」では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて北海道知事賞を受賞し、以降コンスタントに映画やテレビなどの作品を手掛けている監督です。
芳根京子は、2013年『ラスト♡シンデレラ』で女優デビューをし、2014年「物置のピアノ」で映画初出演にして初主演しています。
髙橋海人は、2013年にジャニーズ事務所に入所し、2015年に期間限定ユニット・Mr.King vs Mr.Princeとなり、そこから、2018年にKing & Princeとしてデビューしています。その後、舞台、テレビ、映画と活躍をしています。
本作は、第12回野性時代新人賞受賞作を受賞した君嶋彼方の原作の小説『水平線は回転する』であり、2021年にタイトル「君の顔では泣けない」と改題し、加筆修正をしています。
物語は、高校生のときにプールに落ちた2人が心とカラダが入れ替わってしまう。2人はともにそのことを周囲に隠しながら生活をし、30歳にあったある日、もとに戻る方法を試そうとするストーリーです。
序盤から学生が制服のままプールに飛び込むところが描かれ、そこからとある喫茶店で待ち合わせをしていた坂平陸と水村まなみが描かれます。
2人は近況を話し合っていますが、30歳になろうとしている2人が結婚の話もしますが、徐々に2人の話し方が「俺」「私」という言い方で、なぜそうなっているのかの説明がされます。
2人は、15歳のときに心が入れ替わってしまい、お互い体と心が入れ替わっていることで、男性と女性の違う感覚で日々を過ごしてきたことになります。
そこから、15年前の喫茶店のシーンとなり、お互いの心が入れ替わってしまったことで困ってしまう時期が描かれます。
男女に体が入れ替わってしまう物語は、大林宣彦監督「転校生」が有名ですが、本作も同じようなプロットの作品です。
「転校生」では最終的に入れ替わった状態はもとに戻るのですが、体が元に戻るのが重要ではなく、その入れ替わっていたことが感動になるのですが、本作は結局どのような結末になるのかは観てもらうのがよいです。
中盤以降、30歳となろうとしてきているときに、お互いが元に戻れないまま、どうやってこの先生きていくのを悩んでいくところがあります。
実際に他人と心が入れ替わるというのは起こることはないので想像しづらいですが、物語自体が2人を中心に語られているので、全く理解ができないことはないです。
結婚や出産などを通じて、他人の体で生きていくのですが、観ていくうちに、心とカラダの関係性を考え始めてしまいます。
「大丈夫、わたしは、この体で生きていける」
「じゃあ、また来年」
30歳になり毎年2人は決まった日に会い、お互いがもとに戻れるのかを模索しながらも、近況報告をするわけですが、長期間体が元に戻れないということについては、徐々にお互いに未練があるように思います。
前半と後半で映画の方向性がちょっと変わったような気もしますが、むしろ、気楽なラブストーリーではなく、相手の気持ちを考えた末の物語になってきます。
2人の会話がユルイように見えて、徐々グッとくるようなところもあり、これはこれで、2人の積み重ねの関係の結果に思います。
「コーヒーとコーラ飲んで話したあの時間は、私の救いで。」
終盤の数分間の2人の経過のシーンを観たときに本作の重要なことは、「心とカラダが入れ替わったことではない」ということに気がつくのかと思います。
序盤は、ある程度想像がつくような展開と思いきや、想像の斜め上の展開で、古典的な物語の流れを変えてきたところは非常によくできています。
「入れ替わったのが、水村で良かったと思った」
多分、本作は賛否が分かれる作品なのかと思いますが、本作の根幹が何を描いていたのかを把握していないと、不評に感じてしまうのかもしれません。本作で重要なのは「入れ替わってしまったことがもとに戻ること」ではないです。
![シネマ ロクカジョウ [映画や商品を紹介]](https://6kajo.com/wp-content/uploads/2024/04/6kajo.com1500x500.png)
