作品紹介
【監督】塚原あゆ子
【脚本】坂元裕二
【出演】松たか子/松村北斗/吉岡里帆/森七菜/YOU/竹原ピストル/松田大輔/和田雅成/鈴木慶一/神野三鈴/リリー・フランキー/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 硯カンナは、結婚後15年で夫を事故で亡くしてしまう。不仲なままで死別してしまったが、カンナはタイムトラベルをする手段を得ることで、もう一度、夫の駈とやり直そうとする。

誰向けの作品なのかが見えにくいところが
塚原あゆ子監督は、TBSのテレビドラマの演出家として多数の作品を作り、「グランメゾン東京」「アンナチュラル」などなどを手掛けています。2019年「コーヒーが冷めないうちに」で映画初監督をしています。
松たか子は、二代目 松本白鸚(前名 松本幸四郎)の末子として生まれ、16歳で歌舞伎の初舞台を踏んでいます。その後、NHK大河ドラマ『花の乱』でテレビドラマに初出演をし、以降TVドラマや歌手など様々な分野で活躍しています。
松村北斗は、2009年にジャニーズ事務所に入所し、ジャニーズJr.として活動をし、2012年『劇場版 私立バカレア高校』で映画デビューをしています。2015年テレビドラマ『私立バカレア高校』に出演したメンバーとともに、『SixTONES(ストーンズ)』を結成しています。2020年に『SixTONES』としてCDデビューをし、俳優や歌手として活動をしています。
脚本の坂元裕二は、「第1回フジテレビヤングシナリオ大賞」を19歳で受賞し脚本家デビューをしています。1991年「東京ラブストーリー」の脚本で人気となるも、1996年に仕事の在り方に疑問を感じ休養をしています。その後、テレビドラマ『きらきらひかる』を観たことをきっかけに、再度脚本を執筆するようになり、社会問題を取り入れた中身のある作品を多く手掛けています。『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』『問題のあるレストラン』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』 『初恋の悪魔』を手掛け、2021年『花束みたいな恋をした』ではとても良い脚本を仕上げています。
エンディングテーマは、優河「next to you」となっていますが、優河は、石橋静河の姉であり、ミュージシャンとして活動をしています。
物語は、結婚後、事故で旦那を亡くした主人公が、タイムトラベルをする手段を得て、過去に戻り、夫と再びやり直そうとしていくストーリーです。
序盤から、駅のホームで転落からの人身事故が描かれ、一人の男性が無くなり、その妻である硯カンナは未亡人として暮らしているところが描かれます。
カンナの家に3年前から注文していた通販の餃子が届き、楽しみに食べようとしますが、焼くのを失敗してしまい、更に呼び出しがあり、自動車で向かっているところで、妙な光に包まれてタイムトラベルをします。
松たか子が主役でもあり、主人公視点で物語が進むので、タイムトラベルをしている等の要素をくどくど説明せずとも、あるあるなタイムトラベルの設定でもあるのでさほど難解ではないです。
「いえ、まだ初めてです」
人のメガネをかけてしまうのは、メガネを使っている視点では、かなりありえないところがあります。
タイムトラベル自体は、とあることをすることで過去に戻れるところがあり、偶然に過去に戻ったことと同じことをカンナがすることで、再び過去に訪れ、過去から未来を変えていくような展開なのはすぐに察しがつきます。
過去の夫 駈に会い、未来の運命から逃れるために、過去を変えていこうとする流れですが、なんども過去に戻り、何度も駈の行動から、未来を変えようとします。
15年前に遡り、駈と逢うのですが、15歳の年齢差と15年前のカンナもいることで過去を変えていくことが多少難解になりますが、特に、バック・トゥ・ザ・フューチャーのような感じでみらいを変えていくというよりも、駈との出会いを何度か繰り返して、楽しかった日々を思い返していくようなところもあります。
中盤で、付箋紙とスマートフォンから未来のことを疑われ、物語の展開のひねりが効き始めますが、本作は、タイムトラベルのSF要素での物語というよりも、過去の思い出を呼び覚ましていくようなそんな内容です。
「生きるとか死ぬとか以外に大事なことがあるでしょ」
2025年の時点で、松村北斗が30歳、松たか子が48歳という実年齢ところもあり、配役的にはさほど違和感はないのですが、50歳手前の松たか子がラブストーリーを演じているところはちょっと無理も感じます。
カンナの一方的な視点での物語でもあり、駈視点ではこの現象が良いものだったのかどうかについてはいまいちわかりにくいところもあります。
革靴を履くときにつま先を地面に叩きつけて履いている点も考えると、駈自体は物に頓着のない人物でもあり、どうも駈のキャラクター像には矛盾するようなところも感じます。
最後のオチはしっかりとまとまっているのは、坂元裕二脚本らしいと感じるところです。
本作を観ていると、どうも、誰向けの作品なのかが見えにくいところがありますが、仮説として、「松たか子が松村北斗と共演したいがための作品であり、脚本である」そんな見え方をすると、本作の制作意図も自然と納得はできます。
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