作品紹介
【監督】レオス・カラックス
【出演】レオス・カラックス/ドニ・ラヴァン/カテリーナ・ウスピナ/ナースチャ・ゴルベワ・カラックス/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】レオス・カラックスのセルフポートレート的な作品
レオス・カラックス監督作品をすべて観た上で鑑賞するのが望ましいところ
レオス・カラックス監督は、『カイエ・デュ・シネマ』誌上で評論家として活動をし、1983年「ボーイ・ミーツ・ガール」で映画監督デビューをしています。1986年『汚れた血』を制作し、1991年「ポンヌフの恋人」では、幾度となる製作トラブルに見舞われながらも、完成をし、アレックス青春三部作を完成させ、いずれもヒットしています。その後、1999年「ポーラX」、2007年「TOKYO!」2012年「ホーリー・モーターズ」と非常に寡作ながらも、完璧主義の作家性から、ファンも多い監督です。新作が非常に期待される監督です。
ドニ・ラヴァンは、フランスの俳優で、1983年「傷ついた男」で映画デビューをし、直後にレオス・カラックス監督作品に3作連続で主演を演じています。レオス・カラックス監督の分身とも言われるような配役で、圧倒的な印象を持っています。日本での公開作品の出演は少ないながらも、フランスでは多くの作品に出演しており、独特な身体能力と風貌は替えのいない俳優かと思います。
本作は、パリの現代美術館ポンピドゥー・センターから依頼された展覧会が予算オーバーとなり、代わりに制作された作品で、レオス・カラックス監督の過去の作品を通じて映画を語った作品かと思われます。
物語は、レオス・カラックスのセルフポートレートのような作品で過去の作品を通じて、レオス・カラックス監督のことを語った内容です。
序盤から、レオス・カラックス自身が登場し、生い立ちのような家族関係のような私的なことが描かれつつ、本作が、依頼された作品で新たに物語を作ったような説明がされていきます。
映像は、様々な映画や自身の過去作品をコラージュし、映画史や自身の映画観を綴っていく内容であり、抽象的な表現が多いところがあります。
改めてみると、カラックス映画はとにかく映像がきれいであり、初期のアレックス三部作では特に映像へのこだわりが高かったのがわかります。
レオス・カラックス監督の極私的映画でもあり、メッセージ性はあるものの、あくまでカラックスの視点でもあるので、見方によっては遺言のようにも見えます。
過去作品をコラージュしてつなぎ合わせており、また、カラックス自身が敬愛するさまざまな作品からの引用も行われています。
なんとなくゴダール作品のコラージュ的なところもあり、むしろ、ゴダールの演出から新たな映像の手法や作家性を模索しているようにも見えます。
42分という内容の短編ではありますが、レオス・カラックス監督の総集編とも言える内容で、難解さを感じますが、レオス・カラックス監督ファンにはむしろ至福の時間の作品に思えます。
できれば、レオス・カラックス監督作品をすべて観た上で鑑賞するのが望ましいところです。
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