作品紹介
【監督】平波亘
【出演】中井友望/山脇辰哉/都丸紗也華/西本まりん/詩野/安楽涼/合田口洸/水間ロン/大沢真一郎/橋野純平/柴山美保/小澤雄志/細川佳央/大宮将司/内堀太郎/麻木貴仁/久田松真耶/安藤聖/山中崇/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 果歩は、父を無くし、病気の母を持ちながら経済的に追い詰められながらも、色々ともがいていく。
周囲の環境に追い詰められてしまうところが、やるせないところでもあり
平波亘監督は、2008年「スケルツォ」で長編映画監督デビューをし、以降、様々な映画を制作しています。2024年にはテレビドラマ「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」の制作もしています。
中井友望は、2018年『ミスiD2019』にエントリーをし、ミスiDの第7代目グランプリ選ばれています。2020年「やめるときも、すこやかなるときも」でテレビドラマでビューをし、2021年「かそけきサンカヨウ」では映画初出演をしています。2023年「サーチライト 遊星散歩」で映画初主演をしており、今後が期待できる女優です。
山脇辰哉は、俳優として活動をし、2020年MOOSIC LAB2020長編映画部門「光の輪郭と踊るダンス」で映画デビューをしています。その後、MOOSIC LAB「MOOSIC AWARD2023」ベストアクター賞を受賞し、テレビや映画など幅広い活躍をしている俳優です。
物語は、父親をなくし、認知症の母親と暮らしている主人公の女子校生が、生活をするために苦労をしながらも、何かを見出していくストーリーです。
序盤から、明け方に新聞配達をしている輝之と、外を出歩いてなにかを探している果歩の姿が描かれます。果歩は、若年性認知症を抱えている母親がおり、母を探していることが後々わかります。
果歩と輝之はお互い貧困生活を送っており、生活費を稼ぐことで、日々苦労をしています。
スーパーで買物の帰りに店の裏に置かれた捨てるつもりのキャベツを果歩がジッと見つめますが、その後の晩ごはんがキャベツを使った食事となっており、何をしたかがわかります。
その後、クラスメイトが「JK散歩」と称した売春をしていることで、いじめが起こっていますが、果歩は彼女をかばおうとします。
父親がおらず、認知症の母と生活をしている果歩ですが、そのことを誰にも相談できず、困窮した生活の中で困った状況を一人で抱え込んでしまいます。学校のトイレットペーパーを盗んでいることが輝之にバレたことで、気まずいことになりますが、たまたま輝之がやったことに置き換えられます。
細かい説明はないのですが、困窮した生活ながら、果歩自体は女子高生の生活力でなんとか過ごして行きますが、やはり限界が来ます。
「夢とか、やりたいことないの?」
母親が認知症という点で、果歩が学校に行っている間、出歩かないようにしていますが、徐々に母親の行動も怪しくなってきます。
「おかあさんは大丈夫なんかじゃない」
普通に見れば母親も何も問題ないように見えますが、やはり挙動が支離滅裂なところもあるので、一人で放っておけないところはむしろ果歩の負担にもなってきます。
「お金さえあれば、」
果歩の決断は切羽詰まったところからかもしれませんが、それでは解決できないところはあります。
終盤、認知症の母と果歩は対話しますが、いまいち唐突感があり、ちょっと納得しづらいです。
輝之も果歩のために協力をしてくれますが、この動機もふわっとしているところがあり、これは、輝之の困窮しているところが言葉では説明されますが、実は、さほど困窮しているのはわからないところにもなります。
社会的に行き詰まりを感じさせながらも、どこかに救いの道があるところが本作の安心できるところではありますが、果歩が追い詰められてしまう環境には、観ていて苦しいところもあります。
果歩自体の問題ではなく、周囲の環境に追い詰められてしまうところが、やるせないところでもあり、メッセージ性や社会性が詰め込まれていますが、ちょっと内容が多すぎたような気もします。
とはいえ、救われるところと、どこか前向きなところも残されているので、ダウナーな作品というわけでもありません。