作品紹介
【監督】内田佑季
【出演】佐藤玲/飛葉大樹/武藤令子/幕雄仁/鈴木秀人/三原羽衣/浅見小四郎/菅田俊/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 浜田真紀は、ミニシアターを営む祖父 正一と暮らしながら脚本家を目指している女性。ある日、映画配給会社に務める新井国秀と知り合う。
サブスクで観る
「かかってこいよ世界」という挑戦的な感じ
内田佑季監督は、2013年『ふたりで別の歌を』を卒業研究作品で監督し、第31回そつせい祭 最優秀作品賞を受賞しています。その後、脚本と監督を手掛けており、2019年『触れてしまうほど遠い距離』では、立川名画座通り映画祭 グランプリをはじめとした賞を受賞しています。
佐藤玲は、演劇を学び、2012年『日の浦姫物語』で蜷川幸雄演出の舞台で女優デビューをしています。2014年「おばけ」で映画デビューを市、その後、「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「億男」「花束みたいな恋をした」など様々な作品に出演しています。
主題歌は、土屋アンナ「Atashi」となっています。
物語は、ミニシアターを営む祖父とともに暮らしている主人公が、映画配給会社勤務の男性と出会い、恋人となるが、在日韓国人を題材にしたドキュメンタリー映画の上映をきっかけに関係が少しずつ変わってくるストーリーです。
序盤から、イメージ的な映像で、主人公 浜田真紀のおいたちが描かれます。赤ちゃんの目線での世界が描かれ、イメージ的な演出があります。
その後、25歳になり脚本家を目指しながらもまだまだ芽が出ていない現状に悩みながら、脚本を書いている真紀が描かれます。
居酒屋でバイトをしている真紀ですが、とあることでバイトをクビになり、そこで、新井国秀と出会います。
真紀と国秀は再び出会いますが、国秀は映画配給会社に勤務し、真紀は脚本家を目指しつつも、祖父がミニシアター「白鯨坐」を運営しているということがわかり始めます。
「浜田さんなりのぶっとんだラブストーリー作ればいいと思いますよ」
真紀と国秀は徐々に仲が深まっていきますが、本作はラブストーリーの側面を持ちつつも、それだけではとどまらない内容があります。
「男にはいつでも結婚できるけど、女にはタイムリミットがあるからね。」
中盤で、国秀が在日韓国人3世ということを告白されます。本作でのテーマではありますが、在日韓国人のことで、2人の関係がちょっと変わってきます。
国秀がカミングアウトしたことで、そのことに関連したことで周囲との関係性がぎくしゃくしてきます。
「映画館っていうのはよ、宇宙なんだよ」
在日韓国人を取り扱っていることで、差別感を感じてしまうところもありますが、映画というプラットフォームを使って、ボーダーレスなところを伝えていくところは良い感じです。
意外と映画の音楽が良く、盛り上げていくところや、時間経過でかかる曲の印象で、良い感じに見えてきます。
約80分でまとめ上げている内容でもあり、サクッと観られるテンポの良さもあり、「かかってこいよ世界」という挑戦的な感じでエンディングがまとまっているところと音楽がアガる感じです。