【洋画】「ウィンターボーイ(2022)」★★★☆☆【感想・レビュー】

作品紹介

【監督】クリストフ・オノレ
【出演】ポール・キルシェ//ヴァンサン・ラコスト/エルヴァン・ケポア・ファレ/アドリアン・カッセ/パスカル・セルヴォ/アン・ケスラー/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 リュカは、父親を交通事故で亡くしてしまう。父親の葬儀で年上の青年リリオと出会い、心惹かれていく。

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眺める感じで観るとよい作品

クリストフ・オノレ監督は、映画を学び、批評家として活動後、2004年「ジョルジュ・バタイユ ママン」で監督デビューをしています。その後、2006年「パリの中で」で大きな反響を得ており、以降、脚本や監督として活動をしています。

ポール・キルシェは、両親にイレーヌ・ジャコブとジェローム・キルヒャーを持ち、2020年「How to Make Out」で映画デビューをしています。2022年「ウィンターボーイ」で、サン・セバスティアン国際映画祭 最優秀俳優賞を最年少で受賞しています。

ジュリエット・ビノシュは、演劇の学校で演技を学び、1983年『Liberty Bell』にて映画初出演しています。『ゴダールのマリア』『汚れた血』『存在の耐えられない軽さ』『ポンヌフの恋人』で着々とキャリアを重ね、『トリコロール/青の愛』では、ヴェネツィア国際映画祭 女優賞とセザール賞主演女優賞を受賞をし、1996年『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー助演女優賞を受賞、その後2010年『トスカーナの贋作』で第63回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しています。ヴェネツィア国際映画祭、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭の世界三大映画祭のすべての女優賞を受賞しています。

物語は、父親を交通事故で亡くした主人公が父親の葬儀でとある青年と出会い、喪失感を感じていく中、徐々に気持ちを取り戻していくストーリーです。

序盤から、自動車内で母親を待っているリュカが描かれ、リュカ自身の日常が描かれます。

回想と現在の状況を挟みながら描かれていきますが、主人公視点の内容となるので、さほど見失うこともありません。

父親との回想が主なところとなりますが、父の事故死ということで、実家に戻り、父と母とリュカの関係がわかります。序盤で、リュカの回想をつなげながら、父親の死を回想のような感じで描かれます。

時間軸が変わり、その後、パリに訪れることになりますが、そこでリュカの兄の同居人のリリオに出会います。

本作はLGBTQに近い要素のある人間関係がありますが、その関係性も観ていくうちにヒトクセあることがわかってきます。

リュカの母親役は、ジュリエット・ビノシュではありますが、どこか母親のようでもあり、友人のようでもありと、母親像としては、ちょっと違和感は感じますが、純粋に母親役というのが少ないからなのかもしれません。

主人公視点の物語でありながらも、リュカ自体の心境と行動には感情移入がちょっと難しいところでもあります。

父親への特別な思いは母親とルームメイトが救済してくれるようなところもあり、徐々に癒やされていくような流れでもあります。

ルームメイトのリリオとの関係性については、ちょっとモヤモヤしますが、本作は父親の死が前提でもあり、その喪失の行く末を探っていく感じでもあります。

本作のモチーフは、クリストフ・オノレ監督の実体験を元にしており、自伝的な物語でもあります。再生していく思春期の物語でもあり、万人には共感されないかもしれません。

パリの町並みの美しさとポール・キルシェの美青年なところ、母親であるジュリエット・ビノシュの想いが見どころでもあり、父親の死の呪縛が常に作品内の背後に置かれている感じもします。

思春期の若者の視点で描かれている作品でもあり、色々と不安定なな感情が見えてきますが、それが本作のポイントでもあり、眺める感じで観るとよい作品でもあります。

結果的なまとめをジュリエット・ビノシュが持っていってしまうのですが、まあ、キャスティング的にはこういうまとめ方も仕方ないところも感じます。

予告編

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