作品紹介
【監督】リュック・ベッソン
【出演】ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/クリストファー・デナム/マリサ・ベレンソン/マイケル・ガーザ/クレメンス・シック/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公はドッグマンと呼ばれる男性。ある夜、1台のトラックを警察が停めると、そこには女装した男性と十数匹の犬がいた。その男は、自らの半生を語り始める
サブスクで観る
今回も引退作としてはちょっと覚悟が足りないかなぁと
リュック・ベッソン監督は、フランスを代表する監督で、「レオン」「ニキータ」等名作映画を多数製作しています。10作品の監督で引退するといっていましたが、2010年公開の『アデル/ファラオと復活の秘薬』でこれを撤回。2019年現在では、17本の監督作品があります。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは、2007年「ノーカントリー」で映画デビューをし、2010年『ラスト・エクソシズム』で非常に高い評価を得ています。その後、多数の作品に出演し、2021年「ニトラム/NITRAM」で、第74回カンヌ国際映画祭男優賞受賞をはじめ、数多くの賞を受賞しています。
物語は、ドッグマンと呼ばれる男が、警察に呼び止められ、反省を語っていくうちに、犬とともに生きてきた彼の人生が壮絶なことであったストーリーです。
序盤から、行動の不思議な男性を呼び止め、トラックに乗っている男に尋問をしますが、男は「ドッグマン」と応え、ドラッグクイーンの格好をしており、その行動不審なところから、拘束の上、尋問をします。
警察署で尋問されながら、過去を遡って半生を語っていく展開でもあります。
主人公のドックマンは、幼少期の親の問題で足が動かないというところでもあり、その時のことで、ドッグマンの信頼できる仲間は、犬のみとなってしまいます。
尋問シーンと過去の回想が交互に描かれていく展開で、わかりにくさはありませんが、ドラッグクイーンという職業がどこまで理解できるかにもよります。
足が不自由ということながら、車椅子での生活でどのように収入を得られるようになったのかを説明するのが前半でもあり、ドラッグクイーンとして人気となるところは、ある意味サクセスストーリーでもあります。
主人公が特殊な人物でもあるので、感情移入しづらいところは、本作のもったいないところとも思います。
マフィアの存在も関わってくるようになり、仲間の犬のおかげで助けられたりと、犬を操って敵対する相手に打ち勝っていくところもありますが、本作はほぼアクション要素はありません。
終盤、マフィアの報復に対して、犬との共闘でマフィアを退治していきますが、この点はベッソン感のあるアクションでもあります。
今回は音楽が初期のベッソン作品でもおなじみのエリック・セラが担当しており、全体的な物語のテイストは、フランス時代のベッソン作品に近いです。
題材や主人公の立場をもうちょっとわかりやすいと良いのですが、引退前に「ニキータ」レベルの作品を制作してほしいところもあります。
なんとなく思うのは、ベッソン作品は、ハリウッド以降、俳優に恵まれていないような気もします。ジャン・レノやジャン=ユーグ・アングラード、チェッキー・カリョやジャン=マルク・バールなど、フランスの俳優をもうちょっと起用したらよいのかなぁとも思います。