作品紹介
【監督】松本優作
【出演】東出昌大/三浦貴大/皆川猿時/和田正人/木竜麻生/池田大/金子大地/阿部進之介/渋川清彦/田村泰二郎/渡辺いっけい/吉田羊/吹越満/吉岡秀隆/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 金子勇は、ファイル共有ソフト「Winny」を開発し、インターネットで公開をする。多くの人に利用されるが、その裏で違法に映画や音楽、ゲームなどがアップロードされ、社会問題となっていく。
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実際に起こった事件を映像化したことには意味はあるのかと
松本優作監督は、2019年「Noise ノイズ」で自主映画として長編映画監督デビューをし、高い評価を得ています。その後、短編映画「日本製造/メイド・イン・ジャパン」でも多くの賞を受賞し、2022年「ぜんぶ、ボクのせい」で商業映画監督デビューをしています。
東出昌大は、高校時代に第19回メンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリで受賞し、芸能界に入ります。モデルとして活躍後、2012年『桐島、部活やめるってよ』で映画デビューをし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。2013年NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』『ごちそうさん』に出演し、『ごちそうさん』で共演した女優の杏と結婚していますが、後に離婚をしています。2014年『クローズEXPLODE』で映画初主演をし、以降、『菊とギロチン』『寝ても覚めても』等で評価されています。不倫報道により一時期低迷していましたが、現在はフリーの俳優として再起しています。
三浦貴大は、父 三浦友和 母 山口百恵の俳優。もともとは、大学時代に精神保健福祉士を目指していたが、迷った末に俳優となっています。
物語は、主人公がファイル共有ソフトを開発して、インターネットで公開をするが、そのことで違法アップロードに利用されてしまう。そのことで著作権法違反ほう助の容疑で2004年に逮捕されてしまい、裁判で有罪判決をくだされてしまいながらも、無罪を勝ち取っていくストーリーです。
序盤から、部屋でプログラムを作っている風景が描かれます。
主人公は、Winnyを制作した金子勇ではありますが、もうひとりの主となる人が、弁護士の壇俊光となります。当初は、違法ダウンロード者の弁護をすることを拒否していますが、当然、圧倒的に違法であるために弁護をする余地がないところからくることになります。
金子勇が逮捕された事により、弁護の依頼がされますが、この場合の違法性について、疑問を抱いたことで、壇俊光は弁護を行うことになります。
「殺人に使われた包丁をつくった職人は逮捕されるのか?」
そのから、ソフトウェア開発を行ったことにより、用途の違法性と開発自体の自由を法廷で争っていくながれとなり、法廷ドラマとして、事実に基づいた描かれ方になっていきます。
Winnyの制作者としての開発者の自由と、生まれたソフトウェアに対しての権利が争点であり、当時、違法なデータの共有ということで、犯罪幇助の可能性がありましたが、結果としては、無罪を勝ち取っていきます。
判断の難しいところでもあり、当時の日本では、取り締まることが難しかったところもある点も描かれ、ソフトウェア開発者の自由を脅かす面も物語を通じて理解ができます。
現在は、Winny自体は使われることはなくなっていますが、大容量のデータの共有という点は、現在でも手段や方法は別のツールとして存在はしており、要は、時代の流れに司法が追いつけていなかったところも見え隠れするところになります。
淡々と法廷ドラマと当時のITに関する理解が描かれており、物語の起伏的には退屈に感じるところもありますが、実際に起こった事件を映像化したことには意味はあるのかと思います。
実際には、開発者の金子勇氏は、2013年に急性心筋梗塞で42歳で死去していますが、当時の事件やソフトウェアを知っている人には興味深く観られ、また、インターネット上の著作権等についてを再度理解できる内容かと思います。
予告編
映画「Winny」松本優作監督インタビュー、あのファイル共有ソフトを生み出した開発者・金子勇氏の姿を描き出す