【監督】トッド・フィールド
【出演】ケイト・ブランシェット/ノエミ・メルラン/ニーナ・ホス/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 リディア・ターは、ドイツのオーケストラで首席指揮者と選ばれる。天才的な能力とプロデュース力で有名となるも、マーラーの交響曲第5番の演奏や新曲制作のプレッシャーで精神的に追い詰められていく。
万人受けする作品ではないとは思いますが
トッド・フィールド監督は、映画製作を学びながら、俳優業も行い、1987年「ラジオ・デイズ」で映画初出演をしています。その後、2001年『イン・ザ・ベッドルーム』で監督デビューをし、2006年『リトル・チルドレン』を監督以来、監督の機会がありませんでしたが、2022年「TAR ター」を制作し、非常に高い評価を得ています。
ケイト・ブランシェットは、1994年『Police Rescue』で映画デビューをし、1997年『オスカーとルシンダ』で高い評価を受け、1998年『エリザベス』では各映画賞でノミネートされ、高い評価を受けています。2004年「アビエイター」では、アカデミー助演女優賞受賞を受賞し、2013年「ブルージャスミン」では、アカデミー主演女優賞受賞を受賞しています。「あるスキャンダルの覚え書き」「アイム・ノット・ゼア」「キャロル」など多くの作品で高い評価のある演技をみせる女優です。
本作の主人公 リディア・ターは、架空の人物で実在してるわけではありません。
物語は、ドイツの天才的指揮者の主人公が、制作と交響曲の演奏にだんだんとプレッシャーを感じ、ある日、指導した若手指揮者が死亡したことで嫌疑をかけられていくストーリーです。
序盤から、特急列車の中らしきところで、メッセージのやり取りをしているシーンから始まります。そこからいきなりスタッフ表示となり、ちょっと面食らいます。
リディア・ターが指揮者としてすでに天才的なところが語られ、女性指揮者ながら、非常にプロフェッショナルな印象のある説明がされていきます。女性指揮者としての反骨的なところがチラチラ見えるところがあり、床に散らばったレコードから裸足でレコード選んでいくところはそういう意味があるのかと思います。
指揮者としてある意味頂点にも立つほどの主人公が、徐々に周囲の評価が変わり、立場が変わっていく様を描いている展開ですが、淡々としつつも、その孤独になにかと戦っている感じが様々なシーンから感じとれます。
主人公視点での物語ではありますが、そのターの言動で理解していくところもあり、説明も全てをわかりやすくしてくれてはいないので、注意深く見ていく必要があります。
人により評価が割れるところもあり、読解力が必要な作品でもあります。主人公が壊れていき、そこからまた別の道を選んでいく展開であり、158分という時間で、孤独さを痛烈に感じたところはあります。
解説が必要なような作品かもしれませんが、理解ができなくとも、ターの孤独さや傲慢さ、指揮者としてのあるべき姿に自分自身がどうあるべきかということを感じ取れれば良いのかと思います。
万人受けする作品ではないとは思いますが、読解力が必要な点も多く、意図的に説明を排除している映画ではあり、気軽に見てはいけない作品に思います。