作品紹介
【監督】ステファン・フィンレトン
【出演】モー・ダンフォード/ジョアナ・リベイロ/ジェラルド・ジョーダン/キアラン・フリン/スティーヴン・レイ/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公バッジは、恋人ソフィアとの生活を送るために、裏社会から足を洗おうとするために最後のしごととして、ウクライナの密売人と大口取引をする。しかし、麻薬を積んだ車が盗まれてしまう。
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ワンカットで撮影することに固執しすぎた作品
ステファン・フィンレトン監督は、2015年「The Survivalist」で長編映画監督デビューをし、様々な映画賞で評価されています。その後、2022年「ナイトライド 時間は嗤う」で全編ワンショットで撮影をし、野心的な作品を制作しています。
モー・ダンフォードは、アイルランドの俳優で、TVシリーズ「ヴァイキング~海の覇者たち~」で高い評価を得ています。その後、「PATRICK’S DAY」『ダーケスト・ウォーター』などで高い評価を得ており、今後に期待できる俳優です。
物語は、麻薬密売の稼業をしていた主人公が、恋人との生活のために、裏社会から足を洗おうとするが、取引に失敗してしまい、盗まれたものを取り戻そうとするストーリーです。
序盤からタロット占いで将来を占うソフィアが描かれ、最後の仕事のために出かけるバッジが登場します。
本作はすべてワンカットで撮影されており、NGなしに撮影している作品です。
似たような作品は多々あり、全編ワンカットながらも、絶妙にカットを繋いでいることでワンカットにみせかけている作品も一部あります。
94分間のワンカット撮影がされていますが、ほとんどのシーンが車での移動シーンとなり、ボンネットに小型カメラかスマートフォンを設置して撮影したんだろうなぁと思います。
物語の多くも、社内から通話をしているシーンとなり、観ていても画面の動きはさほどはありません。
同じようなワンカット作品で言えば、「ウトヤ島、7月22日」「1917 命をかけた伝令」などがありますが、こちらの作品では、場面が移動しながら、物語が展開するので、退屈はあまりしない作りになっています。
本作は、やはり自動車に乗りながらの会話劇というところが主軸となり、ワンカットでの撮影の凄さと物語の必然性がちょっと欠けてしまう印象です。
ワンカットで撮影することに固執しすぎた作品なのかとも思える点が、本作の難しいところでもありますが、野心的なところが観ている側に伝わりにくい作品ではあります。