【監督】石川慶
【出演】妻夫木聡/安藤サクラ/窪田正孝/清野菜名/眞島秀和/小籔千豊/坂元愛登/山口美也子/きたろう/カトウシンスケ/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 城戸は、弁護士として、依頼者 里枝より亡くなった夫 大祐の身元調査を依頼される。長年疎遠だった大祐の兄から、遺影の男が大祐ではないとのことから、夫がまったくの別人であったことを知る。
石川慶監督は、大学では物理を学んだあと、映画監督を目指し、ポーランドに留学をし、演出を学んでいます。帰国後は、ドキュメンタリーやCMを制作し、2017年『愚行録』で長編映画デビューをしています。
妻夫木聡は、高校生の頃からモデルなどで活躍し、1998年『すばらしい日々』でテレビドラマに初出演をし、2001年「ウォーターボーイズ」で映画初主演をしています。その後、映画とドラマに数多く出演し、2009年『天地人』でNHK大河ドラマの主演を演じています。主役から脇役までこなせる万能的で幅の広い俳優でもあります。
安藤サクラは、父に奥田瑛二、母が安藤和津、姉が安藤桃子という家系で、高校時に女優の道に進んでいます。2007年『風の外側』で映画デビューをし、2009年「愛のむきだし」で存在感のある演技で評価されています。2011年『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』で第84回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞を受賞をし、その後も様々な作品で圧倒的な評価をされています。『かぞくのくに』『百円の恋』『万引き家族』など、話題作に出演している女優です。
窪田正孝は、オーディションに合格し、芸能界入りをし、2006年『チェケラッチョ!! in TOKYO』でテレビ初主演でデビューしています。その後、2008年『ケータイ捜査官7』で主役となり、様々な監督と仕事をし、徐々に評価を上げ、テレビや映画と活躍している俳優です。
原作は、2018年に発表された平野啓一郎の小説です。
物語は、とある未亡人から亡くなった夫の身元調査を依頼される。それは、死んだはずの夫の遺影がまったくの別人であったことで、そのことで夫の知られざる秘密が明らかになっていくストーリーです。
とある意味深な絵を飾っている場所から物語が始まりますが、タイトル後、とある文房具店で働く里枝が描かれますが、妙に泣いている感があり、その理由は示されません。
細かいことは描かれないのですが、徐々にわかってきます。
里枝は離婚をして、子供がおり、里枝の文具店に来る男性は大祐という名前で、2人の関係が徐々に親しくなってきます。
大祐自体の身辺はあまり深く描かれませんが、絵が好きということがわかり、とはいえ、抜群にうまいというわけでもないです。
安藤サクラが泣くシーンがあるのですが、毎度ながら、安藤サクラの喜怒哀楽の演技は普通の女優にはできないなにか特別感があります。
そして、大祐は里枝と生活をしていくようになりますが、再婚というところになりますが、大祐は林業をしており、序盤からの流れで、なにか事情があってこの町にやってきたということが描かれます。
多くの要素が詳細に描かれない演出なので、その行間を読み取っていく展開です。
「その男」という題名が示すとおり、大祐が本当は誰だったのかという展開となってきます。
大祐は、林業の最中に木の下敷きになって死にますが、葬式に来た兄が遺影を見たときに、大祐ではないということを言い出します。
すでに序盤30分で、この謎な物語の真相がとても気になる作りとなっています。
序盤以降は、弁護士 城戸の視点の物語となっていきながらも、大祐がなぜ異なる男となっていたのかが描かれます。
序盤の30分の内容を回収していく展開となりますが、時間軸を前後しながら、物語が描かれていきます。
ちょっと展開を見失いがちになるところもありますが、城戸がしっかりとと説明してくれるところもあるので、物語がわからなくなることも少ないと思います。
終盤、城戸が書類を机に叩きつけるところがありますが、それぞれの立場にならないと各々が事情がわからないという点では、弁護士という視点が、冷静に見通しているところはあります。
大祐が何者かという点はきっちりと判明しますが、本作が心地よく観られるのかそうでないのかという点では、冷静に考えるとやはり腑に落ちない感じもします。
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