【監督】ジュリア・デュクルノー
【出演】ヴァンサン・ランドン/アガト・ルセル/ギャランス・マリリエ/ライス・サラーマ/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 アレクシアは、幼い頃に自身のいたずらから自動車事故に遭う。一命をとりとめたが、頭蓋骨にチタンを埋め込み右のこめかみに傷が残る。成人したアレクシアは、ショーガールとしてモーターショーでパフォーマンスをするが、徐々に車に異常な執着心を抱いていくようになる。
ラストは観てもらうのがよいですが、かなりガツンとくるような表現しづらい感情が刺さります
ジュリア・デュクルノー監督は、フランスの映画監督で、2011年「Junior」で短編映画監督デビューをしています。その後、2016年「RAW 〜少女のめざめ〜 Grave」で長編映画監督デビューをしています。2021年「TITANE/チタン」で第74回カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞しています。
アガト・ルセルは、2022年「TITANE チタン」で映画初出演初主演をしています。女優活動の他に、ジャーナリスト、モデルなどの活躍をしています。
本作は、第74回カンヌ国際映画祭にてパルム・ドールを受賞しています。
女性監督では、1993年「ピアノ・レッスン」に次いでの受賞となリます。
物語は、自動車事故に遭うも、一命をとりとめた主人公は、治療の末に頭蓋骨にチタンを埋め込むことになります。その事故から車に異常な執着心を持ち、さらにとある事件が起こっていくストーリーです。
序盤から、車のエンジンのようなものが描かれ、そこからその車で事故を起こしてしまいます。
以降、右耳にチタンを埋め込んだ手術を行ったことで命はとりとめますが、その影響もあって、アレクシアの感覚にもちょっと普通とは異なるものが芽生えます。
「鉄男 TETSUO」や「クラッシュ」にも通じる要素があり、独特な世界観で語られていくところがあります。
とはいえ、主人公視点での展開となるので、さほど難解ではありません。
むしろ、主人公に感情移入をしてしまうと観ていくのがツラくなるところもあります。
妊娠の兆候があってからアレクシアの行動が過激となり、数人の人を暴行するところにはちょっと主人公の行動に恐ろしさを感じます。
2007年に千葉県で発生した英国人女性の殺人事件での市橋容疑者の行動のような感じもしますが、まさしく顔を変え体型も矯正して逃亡する姿には狂気を感じます。
そこから、ヴァンサンと出会い、共同生活をしていくわけですが、この2人の関係性にもどちらも危機感を感じるようなギリギリしたところがあります。
物語が進んでいくごとに、観るのが辛くなってきます。
主人公に感情移入してしまうのは辛いところですが、そういうような登場人物たちなので、このなんとも言えない感じは、衝撃という言葉を超えているようにも思えます。
ラストは観てもらうのがよいですが、かなりガツンとくるような表現しづらい感情が刺さります。