【監督】大野大輔
【出演】大野大輔/早織/濱正悟/加藤玲奈/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 信太は、ロックデュオ「チカチーロンズ」のボーカル。ある日、対バンのイベントで相方にドタキャンされる。そのときにサポートしてもらった月見ゆべしと意気投合をし、信太は月見ゆべしのマネージャーとして活動していく。
終盤のまとめ方は、観ている側に判断を委ねるような展開
・大野大輔監督は、2016年『さいなら、BAD SAMURAI』で映画監督デビューをし、監督作では自ら出演することが多い監督です。
・早織は、2003年河瀨直美監督の作品「沙羅双樹」にオーディションに参加するも不合格となる。そのときに監督に声を変えられ、女優の勉強を始め、2006年「天使」で映画デビューをし、その後、テレビ番組の出演もし、2010年から「小出早織」から「早織」に芸名を変えて活動しています。なお、2017年「光」で河瀨直美監督作品に出演を果たしています。
・物語は、売れないロックデュオが相方にライブをドタキャンされたことで、フォローでギターを演奏してくれた人と意気投合をし、マネージャーをして活動をしていくストーリーです。
・序盤からとあるライブハウスの楽屋から物語が始まっていきます。
・タイトルが出るまでの流れで、月見ゆべしの「けもの」という歌を歌っているシーンとなりますが、なんとなく良い感じです。
・「本当に彈けないの?叩けば音は出ますよ?」
・月見ゆべしは夢を諦めていないのですが、信太は何かしら理由をつけて何もできないところがあり、この点で、2人で温度差がわかります。
・「マリオカートで公道走ったほうがまだマシだわ」
・「ビジネスっていう言葉で免罪符にすんな」
・「新しい世界って日当5000円なんだ」
・このときの信太と月見ゆべしのディスカッションは不思議な演出ですが、お互いの顔は最後まで見えないところがあり、最後に信太が弁当を食べるところで終わります。
・これは、月見ゆべしのゆずらない部分があるからこそこういう表現となっていところも感じます。
・「2人で一緒に動く時間が増えれば増えるだけ、気持ちはどんどん離れていってる気もするし」
・月見ゆべし自身は自分の才能と譲れない信念があるからこその言動ではあり、
・「は、大きなお世話だわ、ゲストに説教たれる気かよ」
・「これが私のアドリブだよ」
・ローカルラジオ番組の出演の仕事で、月見ゆべしがやりたくない仕事と、周囲に理解されない言動で、なんとなく、世間とのズレを感じますが、とはいえ、DJ側もDJ側でなんかイラッとします。
・「チェキで取り込んだ客なんか、一過性のバブルでしょ」
・中盤で、なんだか展開がよくわからなくなってきますが、あまり気にする必要もないです。
・月見ゆべし役を早織が演じていますが、はすっぱな印象がありながらも、歌が妙にうまいところもあり、ハマり役感があります。
・要は、月見ゆべし自体はツンデレ的なところがあり、そこに妙な魅力を感じます。
・そこに信太に感情移入する置き場所が用意されているところがあり、信太のポンコツ感が顕著に感じます。
・「なんで、あの子は違うって言い切れる?」
・「彼女を支える自分を愛しているのか?」
・マネージャーをしているのでもありますが、実はそうではないところも描かれていきます。
・「何も残らない人生を怖がってちゃダメよ」
・なんとなく、些細な言葉ですが、意味深でもあります。
・「無駄に長い、ただ終わるだけの演奏」
・終盤の前説のシーンはちょっと予想を超えてきます。
・この行動のトリガはいくつか伏線がありますが、感情移入をしてきたこの先にこの展開というのは、本作のなにかの鬱憤を晴らしている気もしますが、多少独りよがりな気もします。
・「俺とお前の何が違うんだよ」
・終盤のまとめ方は、観ている側に判断を委ねるような展開でもありますが、しっかりと伏線があるので、意味がわかるのかと思います。
・この終盤の展開のために色々な流れがあり、やはり主役は、信太ではあるのかと思います。
・題名の「辻占恋慕」はきっちりと説明されているので、そこからも内容の理解は容易いのかと思います。