【監督】ジョエル・コーエン
【出演】デンゼル・ワシントン/フランシス・マクドーマンド/アレックス・ハッセル/バーティ・カーベル/ブレンダン・グリーソン/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 マクベスは、スコットランドの将軍。魔女の予言により野心を掻き立てられ、主君を殺して王になるも、内外からの重圧で暴政を起こす。
コーエン監督の過去作「バーバー」以上に繊細な映像
・ジョエル・コーエン監督は、少年時代より8ミリ映画を制作しており、学校で映画を学び、サム・ライミ監督の現場で映画を学んでいます。1981年「死霊のはらわた」では編集助手を務めており、1984年「ブラッド・シンプル」で長編映画監督デビューをしています。1991年『バートン・フィンク』では換羽国際映画祭でパルムドールを受賞し、1996年「ファーゴ」では、アカデミ賞を受賞しています。その後2007年「ノーカントリー」でアカデミー作品賞を含む4部門を受賞しています。
・デンゼル・ワシントンは、1981年『ハロー、ダディ!』で映画デビューをし、その後、1987年『遠い夜明け』でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。1989年『グローリー』でアカデミー助演男優賞、2001年『トレーニング デイ』でアカデミー主演男優賞を受賞しており、主演と助演のアカデミー賞を受賞している数少ない俳優でもあります。
・フランシス・マクドーマンドは、学生時代にに演劇を学び、当時のルームメイトがホリー・ハンターということもあり、映画関係者とつながりがあります。1984年「ブラッド・シンプル」で映画デビューをし、1996年「ファーゴ」2017年「スリー・ビルボード」2021年「ノマドランド」でアカデミー主演女優賞を受賞しています。主演賞を受賞した女優は、キャサリン・ヘップバーンのみで、助演も含め、3回の受賞でみると、メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンと並ぶ受賞回数があります。アカデミー賞、エミー賞、トニー賞の演劇の三冠を達成している女優です。なお、1984年にジョエル・コーエン監督と結婚しています。
・物語は、シェイクスピアの同名戯曲を映画化した内容であり、主人公 マクベスが、王となるも、周囲のプレッシャーより、暴政を起こしていくストーリーです。
・「きれいは汚い、汚いはきれい」
・延々とモノクロの映像で描かれる作品であり、また、演劇的アプローチでの演出となるので、若干難解なところがあります。
・映像自体は全編白黒で描かれており、コーエン映画では、名作「バーバー」でも、モノクロームの美しい映像で傑作を制作しています。
・コーエン映画として考えれば、むしろ玄人向けな作品なのかと思います。
・演劇臭いところは、実はワザとなところもあり、延々とセットの中で物語が進んでいくような印象です。
・つまり、映像に奥行きがないのです。むしろ、それが、本作の世界観を明確にしているとも言えます。
・フランシス・マクドーマンドを見ていると、なんとなく大竹しのぶ感も感じます。
・序盤の展開がちょっとシンドイのですが、中盤を越えると、この世界観が理解できるとは思います。
・むしろ多くの要素を説明してくれているような台詞回しなので、実は理解しやすいところにはなります。
・見てはいけないものをみてしまってからの展開が恐怖感も感じますが、この流れから、本作の展開に興味が湧くと思います。
・「なにも、今に死ななくても」
・映画という体裁ながらも、やっている演出はほぼ演劇です。演劇は、ある程度その場所を補完しながら鑑賞する作品が多いですが、本作も同じようなところではあります。
・むしろ、セリフが多く観念的なところもあります。
・それが本作の良いところであり、映像的に映えるようなところも、コーエン監督の過去作「バーバー」以上に繊細な映像を作り出しているのかと思います。