作品紹介
【監督】スティーヴン・ソダーバーグ
【出演】ゾーイ・クラヴィッツ/バイロン・バウワーズ/ハイメ・カミーユ/デレク・デルガウディオ/リタ・ウィルソン/ベッツィ・ブラントリー/エリカ・クリステンセン/インディア・デ・ボーフォート/ロビン・ギヴンズ/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 アンジェリーナは、自宅でスマートスピーカーの音声解析をしている女性。彼女は、広場恐怖症でもあり、自宅からほとんど外出しない生活をしていたが、とある殺人事件を感じさせる音声から、屋外に通報しにいこうとする。
サブスクで観る
多少ツメが甘いところはありますが、結局、「自分の身は自分で守ろう」という作品
スティーヴン・ソダーバーグ監督は、高校生の頃から映画を制作し始め、26歳のときの1989年『セックスと嘘とビデオテープ』で初の長編作品を制作し、カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞します。その後、多少低迷をしながらも、1998年『アウト・オブ・サイト』で再度注目され、2000年「トラフィック」で第73回アカデミー賞の監督賞、助演男優賞、脚色賞、編集賞の4部門を制覇しています。2001年『オーシャンズ11』では豪華俳優を揃え、世界的なヒットとなる作品を送り出しています。
ゾーイ・クラヴィッツは、父親はミュージシャンのレニー・クラヴィッツ。2007年『幸せのレシピ』で長編映画デビューをし、その後、様々な作品に出演し、モデルとしても活躍しています。
物語は、自宅でスマートスピーカーの音声解析をする仕事をしている主人公がとある音声を聴いてしまい、そのことで、事件に巻き込まれていくストーリーです。
序盤から、スマートスピーカーを利用した生活がえがかれ、その便利さがわかります。
主人公は、青髪の女性ですが、自宅から外出をせずに自宅内だけで、生活をしています。
自宅の窓から外の様子を眺める生活でもあり、ヒッチコックの「裏窓」的な感じもします。
コロナ禍以降の物語なので、ある程度、感染症対策というところには気遣いがあります。
自宅から出ることをを躊躇するアンジェリーナを描いておくことで、本作の乗り越えるべきテーマが、アンジェリーナの広場恐怖症ということがわかります。
音声アシスタントの名前が「KIMI」という名前ですが、一般的にこの音声アシスタントの名称は、一般名詞でないのが望ましくなります。
「Hey Siri」「Ok Google」「Alexa」など、誤認識をしづらい呼びかけとなるように名付けられています。
音に対して繊細な感度を持つということが描かれますが、何故か、特にその要素が伏線とならないです。
音声解析をして、AIに学習させるのが仕事となりますが、使っている機材は妙にアナログな機器となり、主人公 アンジェリーナの生活から考えると、デジタルとアナログの曖昧な区別が描かれます。
自宅での生活が大半を占めるなか、潔癖であることも、ベッドのシーツの取り替えや歯磨きでわかります。アンジェリーナの人間性は地味によく描かれています。
中盤より、自宅を出て電車に乗り、通報に向かいますが、ここから物語が進んでいくような印象もあります。
チョードリーさんに会いに行くのですが、センシティブな話ではあるので、直接会話をするのですが、猜疑心から生まれたアンジェリーナの行動であり、うかつな言動ではないことがわかります。
スマートフォンで居場所を追跡されているわけですが、当然追う側と追われる側がそれぞれ、IT機器のリテラシーが高いので、面白いです。
拉致されそうになったときの車からの脱出もちょっと鬼気迫る感じがあります。
広場恐怖症という点では、そういう恐怖症がなかったとしても、街中での行動での見ず知らずの視線の怖さがわかるように思います。
最後に、自宅で襲われたことを考えると、引っ越しはしたいかなぁとは思います。
ピンクの髪の毛となり、自宅前のキッチンカーで買い物ができているところに、主人公の問題の克服はサラッと描かれています。
89分でサクッと観られる作品で、多少ツメが甘いところはありますが、結局、「自分の身は自分で守ろう」という作品です。