【監督】黒崎博
【出演】柳楽優弥/有村架純/三浦春馬/イッセー尾形/山本晋也/ピーター・ストーメア/三浦誠己/宇野祥平/尾上寛之/渡辺大知/葉山奨之/奥野瑛太/土居志央梨/國村隼/田中裕子/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】舞台は、第二次世界大戦末期。主人公 石村修は、軍の密命を受け、京都帝国大学 物理学研究所で、原子核爆弾の研究をしていた。未来のためと信じて研究を行ってきたが、1945年8月6日に原子爆弾が投下される。
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科学で超えられる事柄は多く、そして、その使いみちで、世界が大きく変わる。そんな印象を持つ作品
黒崎博監督は、NHKにてドラマ制作に携わり、2010年『火の魚』で様々な評価を受けます。2011年『冬の日』で映画監督デビューをし、『セカンドバージン』で長編映画を制作しています。
柳楽優弥は、2004年『誰も知らない』のオーディションで抜擢され、主役として第57回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞しています。2008年に体調を崩し休業をしますが、2010年より、俳優業に復帰をし、2014年『アオイホノオ』では、テレビドラマ初主演を演じています。「ディストラクション・ベイビーズ」「浅草キッド」など、強烈な印象を残す俳優です。
有村架純は、2010年に『ハガネの女』でドラマ初出演をし、その後、連続テレビ小説 『あまちゃん』で小泉今日子演じる主人公の母親の若かりし頃を演じて人気となり、高感度の高い役者です。
本作はテレビドラマ版を映画版とした作品となっています。
物語は、第二次世界大戦下における研究者の視点から描いたストーリーです。
序盤から、とある青年が薬品を持って大学へ持ち運ぶところから始まります。
これには、硝酸ウランが入っており、U238とU235の抽出を行い、核分裂反応をする物質を手に入れることで、驚異的なエネルギーを手にできる反面、世界を滅ぼしかねない力に触れてしまうことを説明されます。
主人公演じる柳楽優弥はとても役にのめり込んだ演技をしており、なかなかな役者っぷりが描かれます。
もう一つ、科学研究ということをわかりやすく説明をしています。
「もう、目が潰れるかも知らん。うん、それぐらいきれいなんや」
このシーンでのなんとなく普通のように見えて、どこか違う世界をみている感じは柳楽優弥だからこそできるような表現かもしれません。
原子爆弾を日本で作ろうとしていた話ではありますが、実話を元に作られたフィクションではあります。
戦時下の話ではあり、前線で様々なことが起こっていることも描かれますが、衣装等のリアリティはちょっと乏しく、妙に小綺麗な感じもします。
8Kで撮影している作品でも、この点で、細部の作り込みの解像度もそれに応じたリアリティがひつようだったのかもしれません。
「戦争なんか、はよ、終わればいい。勝っても負けてもかわらん」
「君等は死んではいかん」
前半は戦争というところを違った視点で描いていたこともあり、興味深いところはありましたが、途中からなんとなくテーマが変わってしまった感じも否めません。
科学で超えられる事柄は多く、そして、その使いみちで、世界が大きく変わる。そんな印象を持つ作品ですが、ちょっと行儀の良い作品ではあったことで、柳楽優弥の鬼気迫る感じが薄まってしまったような気もします。