【日本映画】「タイトル、拒絶 〔2021〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 カノウは、デリヘル嬢として仕事をしようとするも、直前でビビってしまい、スタッフとして勤めはじめる。他のデリヘル嬢の関係と対応に右往左往しながらも、セックスワーカーとして生きる女性たちを描いた物語です。

タイトル、拒絶

ユルい物語ではないので、多少気分的に余裕のあるときに観ることをおすすめする作品

・山田佳奈監督は、2010年に劇団「□字ック」主宰を旗揚げし、様々な作品を手掛け、2016年「夜、逃げる」で映画監督としてデビューしています。その後、テレビ、映画、舞台と才能を発揮しています。

・伊藤沙莉は、2003年『14ヶ月~妻が子供に還っていく~』で芸能界デビューをし、話題となっています。2006年「イヌゴエ 幸せの肉球」で映画デビューをし、脇役から主演まで器用にこなす俳優です。ハスキーボイスが特長で、アニメの声優やナレーションもこなしています。

・本作品は、R-15+指定作品です。

・もともとは、劇団□字ックによる舞台作品です。

・第32回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品されています。

・物語は、デリヘル嬢の生活にかかわりながら、主人公がその生活風景と関係性を描いた作品です。

・序盤から、カノウの独白のようなシーンからはじまり、社会への不満や生活環境の問題のメッセージを言い放ちます。

・この独白があるからこそ、本作の意味合いが明確になっているように思います。

・物語の多くは、デルヘリ嬢の待機部屋での展開ともなっており、そこでの人間関係を描いています。

・過激なシーンが多いというよりかは、会話劇の要素が強く、それぞれの人物の人間関係を描いており、それぞれの人物に本音と建前、人に言いにくい事情、悟ってしまったかのような生き方などが渦巻く感じです。

・「、男にお金もらう天才だから」

・「そうしたら、あたし、東京燃やしてあげる」

・各キャラクターの設定が克明でもあり、細かい説明がない割には、その背景がわかるような仕草や会話で成り立っています。

・「お前、ぶっちゃけ、クソ評判わりぃんだわ」

・「なんでおめーら一つの部屋で静かにできねぇんだよ」

・主人公は、伊藤沙莉の演じるカノウになるのですが、周辺の人物のキャラクター性が強く、こちらの方に物語がシフトしていき、カノウから見た、風俗嬢とその関係者の生態というところになります。

・「そんなクズの出したごみをさぁ、わたしはどう処理したらいいのかって」

・とはいえ、その描かれているテーマというのには、いまいち理解しづらいところはあり、なぜこの掃き溜めのような場所で、人に認められにくい仕事をしているのかに疑問をいだきます。

・「感謝ってなんだよ」

・結局は、生きていく上での自尊心としての筋をどう捉えるかというところも見え隠れし、この救いのないような空間でも、なにか守るべきものがそれぞれにあるように見えます。

・「私って、死んだって死なないの」

・「私の人生にタイトルなんか必要なのでしょうか?」

・各キャラクターの印象はそれぞれわかりやすいので、物語自体は見失うことはないのですが、些細ないざこざや他人と自分との比較をしているところがあり、主人公カノウの俯瞰したポジションは、むしろ明確に見ている人の視点となります。

・映画の作りとしての必然性がちょっと弱い印象があり、もともと演劇で作られている作品の映画化という点では、舞台版をみたほうが、主題は明確に理解できるのかと思います。

・さまざまな要素を取り入れた映画となるので、言いたいことが多少ぼやけているようにも思いますが、単純に群像劇を描いているという視点で観ればよいのかと思います。

・ユルい物語ではないので、多少気分的に余裕のあるときに観ることをおすすめする作品です。

タイトル、拒絶

 

獣道

 

獣道

  • 伊藤沙莉

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