【監督】風間太樹
【原作】朝井リョウ
【出演】横浜流星/中尾暢樹/瀬戸利樹/岩谷翔吾/清水くるみ/唐田えりか/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 晴希は、柔道一筋に打ち込んできた柔道家。しかし、怪我をしてしまい柔道をやめてしまう。ある日、同じく柔道をやめてしまった幼馴染の一馬に誘われ、チアリーディンググループ「BREAKERS」の結成を考える。
何かを達成するポジティブな物語ではあり、複雑な人物相関もわかりやすくできているので、サラッと観られる映画
風間太樹監督は、映画監督の根岸吉太郎、前田哲に映画を学び、初監督の短編映画「Halcyon days」が山形国際ムービーフェスティバル2013で観客賞、武林未来賞を受賞します。その後、CM制作等に携わり、2017年映画「帝一の國」スピンオフドラマ『帝一の國~学生街の喫茶店~』で商業映画デビューをしています。長編映画では、本作が初監督となります。
朝井リョウは、会社員をしながら小説を書き、2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し注目をされました。その後「何者」が映画化されたりと、多彩な才能のある作家です。
横浜流星は、原宿でスカウトされ、モデルとして活躍後、『仮面ライダーフォーゼ』にて初のテレビドラマ出演しています。
名前が非常に珍しいのですが、本名であり、神奈川県横浜市の出身ながら数ヶ月しか住んだことがなく、横浜という名字は、青森県横浜町が発祥と言われる名字となります。
本作は、原作者の朝井リョウが通っていた早稲田大学に実在する男子チアリーディングチーム「SHOCKERS(ショッカーズ)」より着想を得ています。
物語は、男子で編成されたチアリーディングチームを作り上げることで、各々の部員のチアリーディングに対する思いや友情を描いたストーリーです。
序盤は柔道部を辞めて、新しくやりたいことを始めます。それが男子チアリーディングで、はじめは女性が主として編成されているのが一般的なチアリーディングに違和感を覚える登場人物が多々出てきます。
主要メンバーは、5人で、様々な体型や気質の人が集まりながら、デコボコした感じでチームが結成されます。
当然、経験豊富な人はおらず、見よう見まねでチアを始めますが、些細なことで大怪我をしてしまう危険性を指摘され、まずは「仲間を信頼し、安全にチアを行うこと」を指摘されます。
そもそも、チア演技を行うことはわかるのですが、「誰向けに?」というところが抜けているところがあり、多少目的感が希薄な印象を受けます。
まあそこは、主要登場人物をイケメンで集め、その風景を描くことが基準となっているようにも思えます。
中盤、チーム名や仲間同士の意思疎通がうまくいかず、トラブルが起こりますが、これはコレで想定内の内容でもあり、そのやりとりを楽しむような展開となってきます。
最終的にはチア演技を披露するクライマックスがありますが、メインキャラクターの気持ちのすれ違いも起こり、若干ボーイズラブ的な要素も匂わせるようなところもあります。
悪くはないのですが、群像劇で巧みな物語を作る朝井リョウの物語としては多少物足りないところがあります。
多数の登場人物が出てくるので、各々のキャラクターの作り込みもしっかりしているところはありますが、主演の2人に集約するようなストーリーとなっているのが、物足りなさの原因なのかもしれません。
とは言え、仲間たちがイザコザを起こしながらも、最終的にはチア演技を成功させる正統派なストーリー展開なので、わかりやすい映画です。
出演者のファンは当然ながらも、何かを達成するポジティブな物語ではあり、複雑な人物相関もわかりやすくできているので、サラッと観られる映画です。