【監督】廣木隆一
【出演】瀧内公美/光石研/高良健吾/柄本時生/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 みゆきは、市役所に勤務する公務員。しかし、自宅は仮設住宅でもあり、週末は深夜バスで都内に向かい、デリヘルのアルバイトをしていた。
形や言葉にはしづらいことの表現を目指したような作品
・廣木隆一監督は、数々の映画監督のもとで、助監督として活動し、1982年 『性虐!女を暴く』で長編映画監督としてデビューしています。ピンク映画出身ではありますが、近年では少女漫画原作の恋愛映画を手掛けており、「胸キュン映画三巨匠」の一人に数えられています。
・本作では、初めての原作小説でもあり、様々な視点で作品を作り上げる監督です。
・瀧内公美は、映画のエキストラがきっかけで事務所に所属をし、その後、2014年『グレイトフルデッド』で映画初主演を果たしています。
・本作はR15指定の作品となっています。
・物語は、一人の女性の生活を描いており、表と裏のような生活の狭間で心の揺れ動きと現実感を描いた作品です。
・震災後の福島に住む人々を描きつつ、その周辺で関わり合う物事を絡ませた内容となっています。
・主人公みゆきは、デリヘルとして東京まで深夜バスでやってくるのですが、このデルヘリ嬢となった理由はいまいち描かれていません。
・物語に中央にはあるようなところではあるのですが、この動機があまり見えないところは演出なのかもしれませんが、多少説明不足なところはあります。
・説明は少ないのですが、概ね経緯が予測つくところにはあります。
・とは言え近年の「なんでもかんでも説明セリフで片付ける」と言う映画に慣れているとあまり理解が進まないのかもしれません。
・震災で失ったモノを抱える人々の生きる道を描いているわけですが、当事者や関連したことを体験したことがある人であれば、理解は多少なりとも進むのかと思います。
・共感まではできないとしても、震災の影響で選ばなければならなかった道と捉えることもでき、今の自分がどうなのかを考え直す要素も含まれている気もします。
・支援金でパチンコを興じるものもいれば、道に迷って思い悩む人もいる。
・いつまでも震災の影響を引きずっている人たちが出てきますが、風化させてはいけないところもありながらも再生しなくてはならないところもある。
・こうした自然災害の爪痕は戦争体験とは異なるところながらも、被災者の苦労は身近に環境がなければわからないことでもある。
・単調な展開と起伏が機微でもあり、集中すべき要素がぼやけているようにも見えますが、形や言葉にはしづらいことの表現を目指したような作品でもあります。