作品紹介
【監督】ジョージ・ロイ・ヒル
【出演】ポール・ニューマン/ロバート・レッドフォード/ロバート・ショウ/チャールズ・ダーニング/
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】1936年のシカゴが舞台。詐欺で生計を立てている若者フッカーが、師匠を殺害したギャングに復讐をするため、伝説の詐欺師ゴンドーフと共にイカサマを武器に相手組織と詐欺合戦を繰り広げる。
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非の打ち所がない不朽の名作
ジョージ・ロイ・ヒル監督は、第二次世界大戦でアメリカ海軍でパイロットとなり、その後、テレビ制作をし、『Period of Adjustment』で映画監督デビューをしています。
ポール・ニューマンは、幼少期に母の勧めで児童演劇団に所属するも、興味が湧かず、第二次世界大戦により海軍に入隊します。その後、除隊後に再度演劇の門をたたき、1952年にアクターズスタジオに入所します。同期にはジェームズ・ディーンやマーロン・ブランドがおり、なかなか芽が出ませんでしたが、ディーンの急逝により、代役を受け持った「傷だらけの栄光」で評価され、のちに「ハスラー」で英国アカデミー主演男優賞に輝き、不動の地位を得ています。
ロバート・レッドフォードは、大学時代に飲酒の問題を起こし退学、その後紆余曲折を経て、1959年にブロードウェイでデビューしています。小さな役が多くなかなか評価されませんでしたが、1969年「明日に向かって撃て」のヒットで評価されます。その後、1980年「普通の人々」で監督デビューをし、アカデミー監督賞を受賞し、ハリウッドで初めて俳優と監督の両方で評価された人物となります。サンダンス・インスティチュートを設立し、インディペンデントな映画の育成にも貢献しています。当時、フッカー役にはジャック・ニコルソンに打診されていましたが、断られ、ロバート・レッドフォードが演じることになりました。
原題の「Sting」は、英語で「ブッスリ・グッサリと強烈に突き刺す」「とどめを刺す」と言う意味となりますが、本作では「騙す、法外な代金を請求する、ぼったくる」という意味合いとなります。
物語は、駆け出しの詐欺師フッカーがギャングに復讐をするため、伝説の詐欺師と共謀して詐欺合戦を繰り広げるストーリーです。
序盤はフッカーに周辺が描かれており、まず、ロバート・レッドフォードのイケメンっぷりが非常によくわかります。
その後登場するゴンドーフも一見ダメ男っぽい印象がありますが、超一流の詐欺師であり、コレは続く列車内のポーカーで凄さがわかります。
内容は、各章のような筋立てとなっており、7章からなるシーン分けでわかりやすくなっています。
『The Players』プレイヤーたち/『The Set-Up』段取り/『The Hook』釣り針/『The Tale』作り話/『The Wire』電信屋 /『The Shut Out』締め出し/『The Sting』本番の仕掛け
メインテーマは、スコット・ジョプリンの『ジ・エンターテイナー』を30年代に編曲した曲で、各章立ての冒頭でもイメージを踏襲した音楽で演出されており、このスタンダードな古典的演出が映画の雰囲気を盛り上げてくれています。
フッカーとロネガンが初めて対面する食堂は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも使用されています。
わかりやすい展開であり登場人物も限られているので、それほどストーリーを見失わずに観られます。
序盤の最大の山場はやはり列車内でのポーカー勝負。
圧倒的アウェイの状況で、酔っ払いを演じながら、ロネガンを煽り、ゴンドーフが見事に勝負に挑んでいく様はとても爽快で、かつ緊張感の高さがハンパないです。
理由は、電車の走行音以外の音がなく、音楽での演出すらないシーンなので、軽快なテンポだった物語の盛り上げを、必要な要素を削ぎ落とすことで、見事の描いているところです。
手持のトランプを確認する演出と、いつイカサマをしたのかわからないほどの演出がこのシーンの見どころで、こんな描き方をされては他のどんな映画の緊張感にも敵わないような気もします。
それがまた、列車内の個室内という狭い空間で描かれているところも興味深く、ゴンドーフの凄さも見事に描かれています。
この盛り上がりを描いた後も、次なる計画が用意されており、再び軽快なテンポとなります。
終盤の賭博競馬場の仕組みも鮮やかであり、音声中継だからできる技。
2020年現在から考えると理解のできない人も出てくるかもしれませんが、テクノロジーギャップだけは年頭に置いて観るしかないです。
とは言え、このちょっとだけ複雑な詐欺には注意して観ておく必要があります。
当然、心地よいまとめ方となっており、鑑賞満足感が高い締めくくりをしています。
登場人物の多くが三揃えのスーツを着こなしており、小粋なファッションも本作の魅力です。
トラッドファッションのお手本にもなる映画であり、個人的ではありますが、非の打ち所がない不朽の名作かと思います。
予告編
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