【ドラマ】「東京ラブストーリー(2020)」を観ての感想・レビュー

【監督】/山本透
【原作】柴門ふみ
【出演】/清原翔/眞島秀和/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 永尾完治は、広告代理店の愛媛支部から東京本社の営業部に配属となり上京する。部長の和賀から赤名リカを紹介され、リカが完治の仕事の面倒を見ることになる。永尾には高校生からの知人が上京しており、その中でも三上と関口と再び交流が始まり、リカも含めた4人の恋愛模様が描かれる。

「東京の女」

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・はじめに。

・この記事を投稿した時点では、まだ本作品の放送は終了していないのですが、毎週期待をして作品を鑑賞するという期待感を共有する点を考えると、現時点で記事化しておくほうが良いかと思ったからで、8話まで鑑賞した記事となります。

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・柴門ふみは、一条ゆかりに影響を受け、漫画研究会に所属しながら漫画制作を行い、のちの旦那となる弘兼憲史のアシスタントも行っています。その後1979年「クモ男フンばる!」で漫画家デビューをし、1981年『P.S. 元気です、俊平』で注目され、『東京ラブストーリー』は単行本全4巻で250万部を売り上げています。その他、「同・級・生」「あすなろ白書」など、テレビドラマ化された作品の多い漫画家でもあります。

・伊藤健太郎は、kentaro名義でモデル活動をおこない、2014年『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』で俳優デビューしています。その後、『今日から俺は!!』の役名が伊藤だったことより、伊藤健太郎の役名として改名し、テレビや映画で活躍しています。

・石橋静河は、父がであり、バレエ留学中に演劇の面白さに感銘をうけ、俳優を志します。2017年『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』での演技で評価を得て、その後、様々な作品に出演しています。特技は英会話とダンス、趣味はギターです。

・物語は、仕事で東京に上京してきた主人公が、同じく上京してきている知人と出会い、また、東京で出会った女性と恋愛模様となるラブストーリーです。

・1991年のテレビドラマ版は放送されるや、社会現象ともなった作品で、本作はリメイク版です。

・本作は、FODで、2020年4月29日より毎週水曜日0時に最新話が配信開始しており、全11話の予定です。FODは有料サービスで、月額888円になります。

・また、amazon Prime Videoで配信が行われていますので、アマゾンプライム会員であれば、FOD会員でなくとも観られます。

・1991年のテレビドラマ版は、テレビ用に改定された作品となっており、社会現象まで起こった作品ではありますが、実際の原作マンガとはかなり設定が異なります。そのため、当時原作を読んだ視聴者は、そのギャップに戸惑ったと言われています。

・2020年版は、テレビドラマのリメイクとは言われていますが、設定は原作の内容を多少意識した作りとなっています。

・「関口さとみの実家がラブホテル経営」「和賀さんは家族を捨てて一人暮らし」という設定は出てきます。

・ただし、「パニック障害」「ジンバブエ育ち」「田々井アズサ」などの設定は本作でも出てこないです。

・そういった意味では、テレビドラマ版とコミック版の間の設定で作られており、これもまた、一つの作品であるかとは思います。

・いろいろと本編について述べる前に言いたいことは、作品のリメイク論や類似作品の言及とはなります。

・あまりこのブログではそのような理屈は書かないようにしているのですが、「自らの意思で判断せず、他人の意見や過去の出来事で作品の印象を決めつけてしまう」というのはあまりにももったいないことに思うのです。

・本作の感想の多くは、リメイクする上で、過去作品のほうが良かったという意見が散見されますが、あくまで過去作品では、制作環境も第一印象も異なってしまい、正しく評価しづらいところになります。

・そのため、過去の作品イメージを念頭においてしまうと、どうしても、完成度は下がってしまうのです。

・個人的には、「コミック」「1991年版」「2020年版」はそれぞれ異なった媒体の作品であり、同じ展開と構成を持った一つの作品ですが、「観る人(つまり作り手の目線)で作品が変化する」とは思えるところです。

・コミック版は当然「柴門ふみ」、1991年版は「」、2020年版は「北川亜矢子」が脚本(シナリオ)を担当しています。そのため、それぞれに些細なエピソードの表現が異なってきます。これもまた、前述の「作品の変化」というところにはなります。

・なので、本作には本作の良いところがあり、それぞれに違った魅力があるという視点で、「東京ラブストーリー」に問わず、二次創作は判断したほうが良いのかもしれません。当然、駄目な点も出てくるでしょうし、優れた点もあるかと思います。

・過去作品は過去作品であり、その先入観は持たずに観たほうが良いです。

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恋が芽生える瞬間というのをうまく描いたストーリーでもあり、このもどかしいところが、この作品の魅力

・2020年版に注目すると、本作は、時代背景もしっかり考慮した作品となっており、オンライン配信という点では影響力が難しいですが、1話のはじめから、特殊な撮影をしているところから、見た目の印象よりもかなり手の混んだ撮影を行っています。

・また、ロケが多い印象もあり、一昔のドラマ制作と違い、撮影手法も身軽になったんじゃないかなあとも思います。

・地理的な関係が現実と異なるという指摘もありますが、地理的整合性を求めている作品ではないので、特に気にはならないです。

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・むしろ1話で出てくる東京タワーの見える美しいスポットはすばらしいロケーションです。場所はここからの眺めだと思います。

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・石橋静河の赤名リカは、また一つイメージの異なる印象もあり、彼女の魅力的なところが非常によいです。

・どちらかというと原作に近い赤名リカのイメージで、非常に前向きで積極的なところは良い感じです。

・なお、個人的にもこういう前向きな女性には魅力を感じるわけです。笑顔も素敵なところがあり、元気だけが取り柄というわけでもないキャラクターで、一本芯が通った性格と信念があるからこそだと思うのです。多分、笑うところも、本気で笑えているのだろうなぁとも思えるのです。

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・石橋静河の演技というよりも、彼女の個性も合わせて滲み出ているところもあり、決して目ヂカラが強いわけでもないのですが、真っ直ぐな目線が魅力にもなります。心身ともに健康なところにそういった感情は宿るのかなぁとも思います。私生活はしらんけど。

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・赤名リカのファッションも原色を取り合わせた衣装が多く、メリハリのある性格と一致している印象があります。

・惜しいのは関口さとみの演技力がちょっと足りないかなぁと思う点と、赤名リカと比べるとサバサバしていないところは、この物語のもともとのところなので仕方ないのですが、やはりこのギャップには惜しいところです。

・永尾完治のキャラクターはこういうところなのでしょう。これもまたピッタリではあります。

・「普通オブ普通」というのが合っているように、この「特長がないのが特長」というところが、しっかりとにじみ出ています。これも、他の作品と比べるのではなく、こういう優柔不断でイマイチ自分に自身を持っていないというところでの落とし所になります。

・三上健一のキャラクターも、対比がうまく、この喉仏と長身さには、カンチとまた違った魅力があることで、カンチとリカの恋愛だけにとどまらない複雑かつわかりやすいイメージができています。外見上で言えば、三白眼でもあり、どこかしら魅力があります。

・現在20代前半のひとであれば、自分と照らし合わせやすいのかと思います。これは、1991年版にはどうしてもかなわないところで、1991年の作品に出ている人は、現在の同年代にならないからそこの成立しない親近感だと思います。

・そう思うと、SNSやスマートフォンの利用したコミュニケーションも、時代が指し示すところであり、この空気感を理解しやすい世代ではあると思います。

・この作品の思うところは、人を好きになるということと、まっすぐな気持ちで向き合うということが、よく出ていて、そういう部分の切り取り方はとてもうまいと思います。人を好きになったことのある人なら、誰しもが共感でき、もどかしい気持ちになるのは間違いないと思います。

・白いごはんの例えや、電子レンジをじっと見ているという表現はとても平凡な言葉のように見えて、核心をつくような言葉でもあり、散りばめ方がとてもうまく思えます。

・エンディングの曲は、Vaundy(バウンディ)「灯火」となりますが、恋愛だけにとどまっていないような歌詞ではありますが、しっかりとマッチしている感じはします。これも、他の作品は他の作品であり、新しく作られたものを直感で受け入れられないという判断はもったいないとは思います。

・なお、Vaundyは、現役大学生の19歳ながら、YouTubeの配信やSNSで人気となり、今回抜擢されています。「東京フラッシュ」等、鋭い感覚の曲が多く、2020年5月11日に1stアルバム『strobo』をリリースしています。

・全体的な曲や音楽のイメージは、アコースティックなものが多く、主観ではありますが、1991年版に対する、YMOの「ライディーン」と「RYDEEN 79/07」のような関係の印象の振り切り方のように思います。

・全然関係ないですが、社内のほとんどが、MacやiPadで仕事が行われているようで、Apple製品を多数使っている筆者としては、羨ましい限りです。

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・「君さ、白いご飯みたいって言われたことない?」

・「恋なんて一人で勝手にもりあがんなきゃ、永久に始まんないじゃん」

・「あたしね、欲しくなったんだ。カンチが欲しくなった」

・「わたしのことはいいけど、カンチを悪く言うのはゆるさない」

・「なかったことになんてできないよ」

・「だってはじめて会ったときからこうなるってわかってたじゃん」

・「カンチがわたしをいちばん連れていきたいって思ったことに意味があるんだよ」

・「最高の瞬間はつねに未来にしかないんだから」

・「嘘は平気じゃないからだよ」

・「物理的な時間や距離なんてどうでもいいことなのよ」

・「わたしは一滴もこぼさない」

・「宝物みたいな人との時間だから」

・「あいしてるよカンチ」

・9話の予告でもある「あいしてるよカンチ」の「あ」から始まる発音と勢いはとてもグッときました。

・なお、「もうこぼれはじめてる」の表情は、演技だとしてもなかなかできないんじゃないかなぁと思います。

・残り3話とはなりますが、イッキ見するよりも、毎週を心待ちにして観ることにも意味があるようにも思います。

・リカという魅力的な女性が中心に描かれている作品だからこそ、キャストや演出が変わっても、しっかりと楽しめる作品なのかもしれません。

・恋が芽生える瞬間というのをうまく描いたストーリーでもあり、このもどかしいところが、この作品の魅力でもあります。

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