【監督】パークプム・ウォンプム
【原作】森絵都
【出演】ティーラドン・スパパンピンヨー/チャープラン・アーリークン/サルダー・ギアットワラウット/スークワン・ブンラクン/ノパチャイ・ジャヤナマ
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】主人公 ボクは、自殺した高校生 ミン の肉体にホームステイをし、100日間で自殺原因を探さないと永遠に魂が消えると告げられる。自殺から奇跡的に助かったミンは、もう一度学生生活をやり直すが、自殺に行き着いたミンの原因とは何なのかがわからなかった。
タイと言う国の文化も含め、きちんとまとめられた作品
・パークプム・ウォンプム監督は、映画製作を学び、数々のショートフィルムで評判となり、2004年「シャッター」で長編映画監督デビューをしています。2007年「アローン」など、多数の作品を手掛けています。
・ティーラドン・スパパンピンヨーは、バンコク生まれの俳優で、テレビデビュー後、2017年『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で映画デビューをしています。俳優業と歌手業と多彩な才能を発揮しています。
・原作は、森絵都の作品となっており、1999年に第46回産経児童出版文化賞を受賞しています。
・物語は、ボクの魂が一時的に男子高校生の肉体に宿り、その自殺の原因を探るというストーリーです。
・序盤は、ボクの魂がミンに宿り、奇跡的に生き返ったことが描かれますが、その病院のシーンでは、ちょっとホラー的なテイストを感じます。
・これは、監督自身がホラー映画出身ということもあり、このような演出となっていると思われます。
・その際の演出が面白く、管理人と言われるキャラクターの特異性が見事に表されている演出です。
・その後も幾度か管理人が登場しますが、いずれも特殊な登場の仕方であり、現実と特殊な状況との切り分けがしっかりと描かれています。
・主人公が意外とリア充的な素質があるので、人によってはなかなか感情移入しづらいところがありますが、本作は別に感情移入してみてもらうことが必ずしも良くないかもしれない作品ではあります。
・魂がミンの中にホームステイしている間、「周囲の状況」と「なぜ、自殺に至ったか」を調べていくことになりますが、中盤まではむしろリア充的な学園モノな展開でもあり、序盤の印象と比べてトーンが変わっています。
・ただし、やはりどこかしらに、「自殺した理由を探す」という目的があるために、管理人の登場で、やるべきことに引き戻されます。
・この自殺した理由というのは、本作ののキーとなっているのは当然ですが、多少わかりにくいところもあります。
・そのため、管理人の手引きがあり、真実に結びついてきます。
・ホラー要素を感じる序盤から、中盤、後半と物語が進むたびに、ボク自身の起こったことが判明していき、様々なことに気付かされ始めます。
・ある意味では、自分探しの物語とも思えますが、ありきたりな落とし所での物語ではないので、予想の斜め上を行く展開で満足できるかと思います。
・映像的な美しさも合わせて、非常に完成度の高い作品でもありますが、序盤のとっつきにくさは観ていくうちに慣れます。むしろ、タイと言う国の文化も含め、きちんとまとめられた作品ですので、オススメできる作品かと思います。