【日本映画】「花と雨〔2019〕」を観ての感想・レビュー

【監督】
【出演】/光根恭平/花沢将人/サンディー海/木村圭作//西原誠吾/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 吉田は、幼少期をロンドンで過ごした帰国子女。日本の閉塞的な学校生活に馴染めず高校生活をおくっていたが、ヒップホップと出会い、自分の居場所を見つける。しかし、ラップバトルや裏切りの末に、自らの進むべき道を見失っていく。

「花と雨」と「SEEDA」のことを多少理解した上で見たほうが楽しめる作品

土屋貴史監督は、Perfumeや水曜日のカンパネラ、ゆずなど多くのアーティストのMVを手がけて来ており、本作では初監督映画となります。

笠松将は、18歳のときに上京し、俳優を志しながら、オーディションの応募を続け、2017年鈍牛倶楽部に所属し、徐々に俳優としての仕事の幅を広げています。2020年「花と雨」で長編映画初主演をしています。

SEEDAが2006年に発表したアルバム「花と雨」を原案に、SEEDAの自伝的エピソードを織り交ぜながら描いた映画です。

SEEDAは、本作の音楽プロデュースも手掛けています。なお、ラッパーの自伝的映画を作ることが一つの夢だったとも語っています。

ラッパー「仙人掌」が演技とラップ指導を行っています。

物語は、帰国子女で学校に居場所を感じられなくなってしまった主人公が、ヒップホップと出会い、その中で、挫折や敗北を味わいながら語られる自伝的要素もあるストーリーです。

ラップやSEEDAについて詳しくないのですが、物語は、吉田を中心に動いていくので、さほどわかりにくいというところはありません。

とはいえ、「花と雨」と「SEEDA」を知っている方が、さらにこの作品を楽しめるのかと思います。

笠松将演じる吉田の目つきが鋭いところがちょっと印象的に残るところでもあり、ラップについても、非常に自然なラップに聞こえるわけで、この役作りには驚きを感じます。

EMINEMの自伝的作品「8マイル」にもイメージがダブるようなところもありますが、本作は、より自伝的な要素が強いところがあります。

むしろドラッグが物語に関与してくるところもあり、物語をなぞらえていくところが強く、逆に、ラップを披露するシーンの盛り上がりにちょっと欠けるところもあります。

アルバム『花と雨』は、大麻の売人についてのアルバムと言われており、闇社会を扱った内容の「ハスラー・ラップ」と呼ばれるところでもあります。

その部分でやはりエンタテイメントというよりも、自伝的なところにもなります。

主人公自体は、貧困層ではなく、多少裕福なところはありますが、自らがどのように道を選ぶのかという点では、貧富の問題ではなく、手段は違えど、誰しもが、迷い悩むところにはなります。

かなり振り幅の大きな展開がありますが、基本的にはサクセスストーリーとなっており、ダウナーな印象を残すことはありませんが、観る際には多少の注意が必要です。

とはいえ、やはり「花と雨」と「SEEDA」のことを多少理解した上で見たほうが楽しめる作品とは言えます。

花と雨

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