【監督】ビル・オリバー
【出演】アンセル・エルゴート/スーキー・ウォーターハウス/パトリシア・クラークソン/マット・ボマー/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 ジョナサンは、毎日7時に起床し、19時に睡眠をとる規則正しい生活をする青年。しかし、19以降はもう一つの人格ジョンが活動する時間であり、2つの人格を持つジョナサンは、ジョンとの共同した生活で、徐々に精神を蝕まれていく。
ジョンとジョナサンと第3の人格による視点が存在しており、その視点の矯正を抜け出す程の視点があることに気がつけば、本作はより楽しめるのかもしれません
・ビル・オリバー監督は、アラバマ州バーミンガムで育ち、プリンストン大学を卒業し、アメリカ映画研究所で監督のMFAを取得しています。その後制作した短編映画で、ロッテルダム国際映画祭を含む世界中の映画祭で上映され、いくつかの賞を受賞しています。本作は初監督作となります。
・なお、ビル・オリバー監督は、日本のファミリーレストラン「ジョナサン」は知っているようです。
・アンセル・エルゴートは、9歳の頃にバレエ学校で試演をし、演技クラスで演劇を学んでいます。その後、2013年「キャリー」で映画デビューをし、2017年「ベイビー・ドライバー」では主演を演じています。
・物語は、昼と夜で人格が異なるジョナサンとジョンという2重人格を持つ主人公が、お互いを認識しながらも、兄弟かのようにお互いの情報を共有して生活していくうちに、徐々にお互いの生活に亀裂が生じ始め、2つの人格に悩まされていくストーリーです。
・序盤では、ジョナサン視点で、昼の生活が描かれ、昼はジョナサン、夜はジョンといった2つの生活が描かれていきます。
・とはいえ、この24時間の半分ずつを2つの人格で分け合っているということですが、肉体的にはかなりしんどいよなぁとは思うのです。
・淡々とした展開なのですが、主人公ジョナサンを中心とした物語なので、わかりやすいところではあります。
・正反対の性格のジョン自体の話は、ビデオと人づてで聞くのみで、ジョンが何をしているのかわからないところもあり、2人がお互いに残しているビデオを観ることでお互いの状況がわかるわけですが、同じ人物なところもあり、どちらがどちらということを理解していないと、物語を見失っていきます。
・3人目の存在が中盤で明かされますが、結局の所は、三重人格が重要ではなく、複数の人格と共存するのか、人として健全な生活を選ぶのかというところに落ち着いてきます。
・ジョナサンの人格が主として観ていけるので、感情移入もジョナサンにしやすくなっています。
・中盤以降では、要所要所にわかりにくいながらも、仕掛けがあり、この多重人格におけるジョナサンの生き方にも変化が現れ始めます。
・精神科医の女性や恋人など、ジョナサンを助けてくれる存在も登場しますが、実際のところ、ジョンが何をしているのかがあまり描かれなく、人からの伝えられることで、ジョンの存在を確認できるので、当事者ジョナサンとしての疑心暗鬼感が本作のキモとなります。
・最終的にジョナサンとジョンの関係には一つひねりを持って結末を迎えますが、ヒントは、ジョンの行動が描かれていませんが、主人格となるのははじめから誰だったのか?
・このことを考えると、本作の結末の意味が解釈できるのかと思います。
・淡々とした展開ながらも、ジョンとジョナサンと第3の人格による視点が存在しており、その視点の矯正を抜け出す程の視点があることに気がつけば、本作はより楽しめるのかもしれません。