【アニメ】「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序〔2007〕」★★★★★【感想・レビュー】

【総監督】
【監督】
【出演】
【個人的評価】

【あらすじ】世界規模の大災害が起こったと言われる「セカンドインパクト」から15年後の世界。主人公 碇シンジは、父 碇ゲンドウに呼ばれ、第3新東京市に来るが、そこで汎用ヒト型決戦兵器・人造人間「エヴァンゲリオン」に乗って使徒と戦うことを強いられる。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

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広い世代に観てもらえるような内容に落とし込まれているところ

庵野秀明総監督は、幼い頃よりアニメや特撮に興味を持ち高校生では美術部長を務め圧倒的な画力があったそうです。大阪芸術大学映像計画学科でアニメの世界に触れ、自主制作映画を作っています。そのスタッフは後にガイナックスの主要メンバーとなっています。様々な劇場アニメの作画に携わり、『風の谷のナウシカ』の巨神兵のシーンの担当をしています。1988年『トップをねらえ!』で商業映画初監督をし、1997年には「新世紀エヴァンゲリオン」で社会現象にもなる作品を作り出しています。実写作品も制作しており、非常にこだわりの高い監督です。

本作は、2007年より再構築という形で劇場映画化をしています。

本作は、全4部作の内の第1作目にあたり、スタジオカラー設立第1回作品でもあります。

正式には、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE. 」とここまでが題名ともなります。

本作は、製作委員会方式ではなく、スタジオカラーが制作資金を直接調達しており、配給や宣伝に関しても、全て自社で行っています。

本作は、旧アニメ版で数えると、第6話までを映画化しており、かなり丁寧な作りとなっています。

リビルドという触れ込みもあり、同じように見える物語の流れもさまざまな部分でTV版とは異なるところが出てきます

「海の色が赤色」

「西暦何年かは明確に提示されていない」

「デザインの変わったネルフロゴ」

「赤い大地に人型の白線が描かれている」

「使徒の呼び名と順番が異なっている」

「エヴァの顔の角のラインが異なっている」

「エヴァ搭乗者の名称がチルドレンではない」

「使徒の頭上には天使の輪が表現されている」

「使徒を倒すと虹が現れ、液状化する」

「人類補完計画の報告書の数字が進んでいる」

「倒すべき使徒の数が増えている」

「第二の使徒 リリスのマスクが変わっている」

「月面にリリスのような巨人が存在する」

「月面に謎の棺があり、その五番目から渚カヲルが目覚める」

「死海文書の名称が「死海文書外典 (掟の書)」となっている」

と、さまざまな意味深な変更があり、すでに本誌リーズの布石が描かれています。

第四の使徒との初戦闘は夜の戦闘でもあり、やっているカット割までTV版と同じですが、発光エフェクトや作画は段違いによくなっています。

キャラクター作画も線が細くなっているところもあり、作画崩壊的な要素は微塵もありません。

とはいえ、10年以上前の作品でもあり僅かな古さも感じてしまいます。

アニメ作画は原画と動画の工程から生まれてくるものですが、やはり10年も経つとアニメ作画のクオリティが向上するのは当然でもあり、当時のアニメ業界の空気感も反映されるところもあります。

機動戦士ガンダムも当時の作画の印象が強いため、リメイクされたとしても、この時代のこの作画は一つの頂点でもあるので、リメイクをしても当時の感動は薄くなるかと思います。

では、ヱヴァンゲリヲン新劇場版はなぜTV版のクオリティを超えられているのかは、CGと同じカット割というところで、ブラッシュアップしているからかと思います。

CGの使い方が非常に小気味良く、いわゆる技術の押し売りではなく、適した箇所に適したバランスで使われているところかと思います。

手書きとCGの違和感を抑えつつ作られているので、当時としてはとても新鮮に見えたのかと思います。

2020年でも手書きとCGのハイブリッドな作品がありますが、この流れをいち早く違和感なく融合させているところはあります。

本作は、第六の使徒までの戦いが描かれ、登場人物も多くは登場しないので、何も知らない人も気軽に観られる敷居を低くしており、謎や専門用語は多く出てきますが、決して難解でもなく、エヴァンゲリオンの魅力の一面をしっかりと描き切っています。

破壊的な演出も、リアリティを高めており、第六の使徒の攻撃では、ガラスの割れる音が入っているところに今までの破壊音とは異なるところもあります。

また、ヤシマ作戦という本作での山場である戦闘でも、囮を使った演出も秀逸で、第六の使徒の鉄壁な要塞感がTV版以上に見応えがあります。

「蒸発」という言葉でその攻撃力を表しているところもその強大な戦闘力を示しており、その使徒と対決するという盛り上げ方は必見です。

終盤では、新たな謎を残すようなところもあり次回作に期待を持たせるところは、まさしくリビルドというところでもあり、広い世代に観てもらえるような内容に落とし込まれているところは、続くシリーズに大きな期待が持てる作品となっています。

予告編

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