【監督】
【出演】/水越けいこ//鈴木慶一//中山美穂/
【個人的評価】

【あらすじ】主人公 裕里には、姉 未咲がいたが、とあることで他界してしまう。未咲宛の同窓会の案内をみて、未咲の代わりに同窓会に裕里が出席をするが、未咲と間違えられてしまう。その帰りに、裕里の初恋の相手である先輩 鏡史郎に再会をするが、未咲のフリをしたまま文通を始めていく。

必ず、複数回観てもらったほうが良い作品

監督は、TVドラマやPVで「岩井美学」と呼ばれるほどの熱狂的なファンを生み出すような独特な演出で注目され、「Love Letter」「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」など話題作を多数作り上げています。

は、二代目 (前名 )の末子として生まれ、16歳で歌舞伎の初舞台を踏んでいます。その後、NHK大河ドラマ『花の乱』でテレビドラマに初出演をし、以降TVドラマや歌手など様々な分野で活躍しています。

は、姉が専属モデルを努めていた「Seventeen」のイベントに行った際にスカウトされる。その後、同じく「Seventeen」の専属モデルとなり、2012年『天才!志村どうぶつ園』でテレビ初出演をする。以降CM等に起用され、2013年『幽かな彼女』で女優デビューをし、同年『謝罪の王様』で映画初出演をしています。テレビや映画、CM等多岐に渡る活躍をしている女優で、2020年にはルイヴィトンのアンバサダーにも就任しています。

物語は、姉を亡くした妹が、昔、初恋の相手だった先輩と姉に代わり文通をしていくうちに、昔の思い出と今の気持ちとを再確認していく物語です。

はじめに、この作品を観る前に「Love Letter」は観ないほうが良いかと思います。

それは、本作品が、岩井俊二監督作品「Love Letter」のアンサームービー的な立ち位置でもあり、「Love Letter」という作品との関連性もあり、その印象で、本作品の単体としての判断は、どう観ても正しく観られない可能性が生まれてしまうからでもあります。

多くの人は、1995年の「Love Letter」を知っているからこそ本作を観るきっかけとなると思いますが、1995年の「Love Letter」を知らない場合に受ける印象は、全然異なってくる可能性でもあるからです。

ということで、スターウォーズに例えるなら、エピソード4・5・6を観ずに、エピソード1から見る感じに思います。いや、違うか。

序盤からは現代での物語となり、姉の他界を機に姉の学生時代の話が思い返される展開となります。

ここで、昔の憧れの先輩との文通が始まりますが、主人公 裕里にとっては、昔の記憶を呼び起こしてしまうところにもなります。

そのことは「姉がまだ生きているような気がして」というセリフからもわかるように、裕里には姉の死が受け入れられないところがあり、それは他の登場人物も同じところになります。

鏡史郎からの手紙の返信が発端で、過去の話がさらに絡み合いますが、現代と過去の物語の描き方が交互に差し込まれるので、多少整理しながら観る必要があります。

実際には、動いている現代の未咲は登場せず、過去の未咲もほぼ登場してきません。

そのぼんやりとしたキャラクター像に印象づいているのは「死」という要素であり、その死についての原因は後々に明確になってきます。

この謎解き要素は観ている側にどう映るかですが、この要素は本筋にはあまり意味を成していません。

本作品の要点は、ラストレターにいたる思い出の探求とも言え、そのレターについての関連性がテーマとなるのかと思います。

構造としては円環構造になるようなところでもあり、初見だけで理解することが難しい作品とも言えます。

それは、広瀬すずとが過去と現在の2役を演じているので、やはり難解なところになってくるのですが、それだけにとどまらない過去と現在のつながりがあります。

現在と過去の人物をあえて、「同じ役者に違う人物を演じてもらっている」のはその点でもあり、難解なような演出ですが、同一の役者が違う人物を演じている点にヒントがあります。

乙坂鏡史郎という名前は、やはり少女漫画的なところはあります。

そして彼は自分の書いた小説に3回サインを行うことになりますが、この3回のサインにも何かしらの意味があります。

その他にも少女漫画的な要素が多く、これは岩井俊二作品の作風でもあり、少女マンガ以上に少女漫画の記号的要素が用いられているところも感じます。

映像的美しさは、「Love Letter」での撮影監督篠田昇に師事していた神戸千木が行っており、テイストは非常に近しいところで、幻想的でもある空気感を大事にした映像となっています。

さすがにドローンからの映像が多いなぁとは思いますが、映像的に意味がないわけではないので、それはそれで良いのかと思います。これは、常にあたらしい作品づくりを模索している岩井俊二作品の特長でもあると受け取れます。

新しい手法を取り入れつつも、物語の骨格は非常にシンプルでもあり、シンプルながら、物語のつながりにひと味加えていることで、物事の本質を隠しているような気もします。

過去の岩井俊二作品に関わった役者が多く登場し、この点も複雑な印象を与えてしまうのかもしれませんが、有名な役者が登場するからこそ、物語を見失ってしまう印象があるのかもしれません。

しかし、物語はシンプルであり、最後まで見終えたときに、残ってくるものが必ずあります。

惑わされないように観ることが本作の大事なところですが、必ず、複数回観てもらったほうが良い作品とも言えます。

本作を観てから「Love Letter」を観られるひとがとてもうらやましくも思います。

あくまで一つの作品として捉えてほしい作品です。

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