作品紹介
【監督】宮崎駿
【原作】モンキー・パンチ
【声の出演】山田康雄/増山江威子/小林清志/井上真樹夫/納谷悟朗/島本須美
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】1968年モナコの国営カジノから現金を見事に盗み出す。50億の紙幣を盗んだがそれは精巧に作られた偽札「ゴート札」だった。ゴート札の秘密をあばきだすためにヨーロッパのカリオストロ王国に潜入するルパン三世一味。そこにはカリオストロ家にまつわる壮大な秘密があった。
サブスクで観る
この映画初めて鑑賞する方は羨ましい限り
ルパン三世劇場用映画の第2作。
キャッチコピーは、「前作をしのげないのなら 2作目を作る意味がない」「巨大な城が動き始める! 影の軍団が襲ってくる!」「さらにスピー
ディーに! さらにスリリングに! さらにスッとボケて!」「生きては還れぬ謎の古城でついにめぐり逢った最強の敵!」
もともとは監督は大塚康生に託されるところが、本人が気乗りしなかったため宮崎駿が抜擢される。
大塚康生はTVシリーズの作画監督を行なっており、宮崎駿もまたTVシリーズの一部演出を行なっていました。
TVシリーズでは、「照樹務」というペンネームで宮崎駿が演出をしています。「さらば愛しきルパンよ」「死の翼アルバトロス」がその作品です。こちらも必見です。
TV第1シリーズをなぞらえている要素もあり、ルパンのジャケットの色は緑色です。また愛車もアルファロメオではなく、フィアット500に乗っています。
構想から製作までわずか半年という短期間での製作でしたが、一部のシーンでは不満があったようです。
本筋はルパンが昔に相当泥棒を行った数年後で、物語上では、すでに泥棒家業を半ば引退しているような設定です。そのため、ルパンがギラギラした要素が少なく、クラリスを助けるという行動になっています。
以降は、ほとんど豆知識となりますが、半年の製作期間でとんでもない演出や物語背景を作り上げています。
モナコの国営カジノを襲撃するシーンでは、ルパンと次元以外に五右衛門もフィアットの後部座席に座っています。セリフはなく、後頭部のみが映ります。追っ手の車が切られているのは五右衛門の仕業です。
「ごくろうさん」と書いてある絵の直前の遠目で見えるシーンでは、「ごくろうさま」と書いてある。
オープニング「炎のたからもの」の流れるシーンは演出力が素晴らしく、画面の奥行き感を強調したり、ゆっくりとした流れの中で、時間経過を演出するなど、卓越した画面構成で作られています。
対向車のトラックが走るシーンでは背景や物体の流れが巧みで特に空の動きは背景がただ上に流れていくだけなのに、とても奥行きのある画面作りとなっています。
パンクの修理の際に、追われているクラリスを助けに走り出す時のタイヤの仕上げは次元が足で蹴って仕上げています。
冒頭のカーチェイスシーンでは、宮崎駿と大塚康生のそれぞれの実際の愛車であり、どこまで破壊するかをとことん突き詰めたらしい。
次元がマグナムに徹甲弾を詰めて追っ手を撃退しますが、実際のマグナムには徹甲弾は込められません。
太閤殿下の焼けた屋敷を観た後に、赴く場所の池の飛び石は飛び石ではなく、柱のてっぺんです。
カゲがルパンの宿泊宿を襲撃する前にルパンがやっていることは、偽の指輪の製作です。
その後ジョドーの背中に予告状を貼り付けているので、宿泊宿の襲撃にジョドーも参加しており、想像以上に機敏な動きでルパンの近くにいたと考えられます。
ルパンがカリオストロ城内に忍び込んだ噴水では、水の中から見た風景というのを巧みに演出しており、銭形警部の顔の歪みがあることで名シーンとも言われています。ただしあの角度で見る場合は噴水の中に足を踏み入れないというできそうにないです。
銭形警部に変装して、本物の銭形警部をルパンだと言う後のシーンで、衛士が階段から駆け下りるシーンでは右端に素顔のルパンが写っています。
ルパンと銭形が地下から脱出するシーンにかかる曲は「サンバ・テンペラード」と言い、ルパン三世の中でも屈指の名曲です。
バチカン司教の車を誘導した後にカリオストロ城にたどり着いた時の車の運転手は、次元です。
ルパンが式場内に現れた後、放送を観て「出動!」という時の銭形が咳き込みがちです。
最後のカーチェイスのシーンでは、ルパンの愛車フィアットはボンネットとライトが直されています。
本編を通じて、ルパンがワルサーP38を撃つシーンは回想シーン以外にはありません。
序盤のカーチェイス以降、カゲにマグナムが効かないので、以降次元はマグナムを使いません。
再度、宮崎駿監督にルパン三世の映画の依頼がありましたが、丁重に断り、代わりに押井守監督を推薦しましたが、次回作「バビロンの黄金伝説」は、鈴木清順監督、吉田しげつぐ監督で製作されています。
以上、本編についての感想はほとんど触れていませんが、死ぬまでに観なければならない映画ではあると言う感想しか言えません。
この映画初めて鑑賞する方は羨ましい限りです。