作品紹介
【監督】石黒昇/河森正治
【声の出演】飯島真理/長谷有洋/土井美加
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】50万周期渡り戦争をしている男のゼントラーディと女のメルトランディの戦火は、地球におよび、宇宙戦艦マクロスで地球を脱する。その際のトラブルで太陽系外周までワープをしてしまい、地球に帰還中の木星近辺より物語が始まります。主人公は、パイロットの一条輝。戦闘中に人気アイドル リン・ミンメイを救出したことで親密となるが。
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手書きアニメとして、超絶な作画として、今現在でも最高峰
元々、テレビアニメーションの作品で、本作はテレビ版の再編集として作られた映画版です。
とはいえ、しっかりとした設定があり、当初、ロボットとアイドルの組み合わせでの物語の作り込みは画期的でした。のちに、歌と戦争がテーマとなり、マクロスシリーズとして、多数の作品が作られます。
本作は、初代マクロスをモチーフとして、新たに再構成した内容になります。
設定上、後のマクロス作品では、ゼントラーディ軍との第一次星間大戦(2009年 – 2010年)の戦勝20周年を記念して、2031年に公開された歴史映画」となっています。
監督の河森正治は、20代にしてアニメ映画の監督と、バルキリーのデザインをしたことで一躍有名になります。
よくよく思えば、1984年にして、今でも通用する作画と設定を作り上げている点と、弱冠24歳にして監督まで務めているところには恐るべし才能と思います。
本編は、TVアニメのマクロスをリビルドしたと言える内容ですが良くできているところは、映画のみで内容がしっかり理解できるところです。
TV版はどちらかといえば、人物を中心に描かれる内容が多く、設定ありきの説明が必要でしたが、映画版には、余計なことの説明を無くし、しっかりと本筋を描ききっているところが評価できます。
ゼントラーディ軍の兵士は皆独自の言語で喋るところは、字幕表示をしており多少物語の説明のハードルを上げているようですが、実際には、ゼントラーディ軍側の物語の要素を排除する良い手法にも思えます。
ロボットとアイドルという要素に集約しているので、メカ表現もかなり精細になっています。
作画監督の板野一郎が全面的に携わっているので、特有の「板野サーカス」も美しさの極みでもあります。
バルキリーの動きもツボをしっかり押さえた動きでもあり、戦闘シーンは今の時代でも全く色褪せない素晴らしい完成度です。
特に序盤の戦闘シーンと土星の飛行シーン、地球でのメルトランとの戦闘、最終決戦とどれも何度でも見返したくなる、超絶美麗の出来です。
これがCGのなかった時代の手書き作画というところも驚異的なところです。
人物の作画は、美樹本晴彦の絵柄を忠実に再現しており、TV版の作画崩壊のようなことはなく、こちらも素晴らしく完成度の高い絵柄です。
人物描写の名シーンも多々ありますが、やはり最終戦闘のミンメイのライブが、振り付けも含め、ヴォルテージの上げ方を心得た素晴らしい盛り上げ方になっています。
と、べた褒めするしかない作品ですが、小ネタがたくさんあります。
終盤の戦闘シーンでの、通路で発射したミサイルには、タコハイやバドワイザーなどが混じっている。
輝と未沙が、地球にマクロスが戻ってきた時のシーンでは、2人の関係がとても親密になっていた。(※ファスナーを上げながら出てくる未沙がそれを示唆しています。)
「愛・おぼえていますか」の作曲は、加藤和彦氏です。
その他、リン・ミンメイの楽曲は、羽田健太郎氏の作詞作曲が多いです。
ロイ・フォッカーと戦ったゼントラーディが「カムジン」とのことです。
個人的に好きなのは、訓練用のバルキリーで土星を飛ぶシーンからの戦闘と、異常に速度の速いマクロスの終盤の飛行です。
手書きアニメとして、超絶な作画として、今現在でも最高峰ではある作品です。
予告編
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