【監督】西海謙一郎
【脚本】松居大悟
【出演】林遣都/柳俊太郎/前野朋哉/池田エライザ/
【個人的評価】★★★★☆
【あらすじ】地方都市に住む三人の童貞が主人公。脱童貞のために3人はとある計画を立てる。
この3人組に始終するところが本作の魅力
西海謙一郎監督は、本作が長編デビュー作です。
林遣都は、2007年、映画『バッテリー』の主演で俳優デビューし、以降、映画出演が続いています。
池田エライザは、父が日本人で母はスペイン系フィリピン人で2009年にファッション雑誌「ニコラ」でモデルデビュー後、2011年公開の『高校デビュー』で映画デビューしています。『夏、至るころ』で映画監督に初挑戦しており、2020年に公開予定です。
物語は、よくある「思春期モヤモヤもの」というようなところですが、登場人物3人のあだ名からかなりぶっ飛んでいます。
クンニ、ビーチク、カウパーの3人という設定はなかなか口に出しにくいあだ名でもあり、かなり劣等感を感じてしまうことは間違いありません。
25歳にもなり、童貞という劣等感から、自らを変えるために計画立てますが、このあたりも含めかなり、こじれています。
こじれている要素があるからこそ、コミカルに見えるところが多くこの要素が本作の魅力であります。
林遣都自身は、イケメン俳優として人気がありますが、本作では、結構な駄目っぷりで、イメージが崩れてしまうような印象もあります。
標的となる釈笛子自身も、かなりデフォルメされた要素がありますが、この三人から比べれば、随分とあるある要素があり、この絶妙な立ち位置が良かったのかもしれません。
なお、池田エライザの役者としての方向性がいまいちわかりませんが、映画監督を目指したり、ファッションモデルだったりと、美貌とスタイルを利用して活躍しているように見えますが、実際には相当策略家な感じもします。
物語自体は、常に童貞の妄想のような展開が多いので、ツッコミどころが満載です。
その満載加減が本作の魅力なので、リアリティを追求する作品ではありません。ガッツリとこの拗れ具合を堪能するのが正しい見方となります。
「雨を追い越してやったんだ」
「オレはクンニだぜ」
こんなセリフがもう何周も回ってこじれた上でカッコいいと感じることができれば、この映画を楽しめる権利があります。
そう、意外と脚本自体にそういったこじれた要素の中に、何周か回ってカッコよく見えてしまう要素が込められているのです。
終盤は、ちょっとタメの演技が多く、ちょっとイライラします。
それもそれで、この映画を体現しているところでもあり、この3人組に始終するところが本作の魅力なのです。
もちろん、この三人を完全に喰ってしまっている池田エライザにも注目すべき点で、この作品に出ていることが後に「黒歴史」とも言いかねないような気もします。
とりあえずは、池田エライザを観るという観点で気軽に見てもらえると、その奥にある、こじれた感性から生まれたカッコよさに気がつくのかもしれません。