【今週公開の新作映画】「室井慎次 生き続ける者(2024)」

作品紹介

【監督】
【出演】柳葉敏郎//前山くうが/前山こうが//矢本悠馬//丹生明里/松本岳//飯島直子//木場勝己/稲森いずみ/いしだあゆみ/

【あらすじ】主人公 室井慎次は、警察を辞めて、故郷の秋田で生活をしていたが、自宅のそばで他殺死体が発見されたことと、かつて猟奇殺人犯として捉えられた日向真奈美の娘の日向が現れ、事件となっていく。

制作の根底自体がどこかボタンを掛け違えてしまっている感は否めないところ

本広克行監督は、学校卒業後、ADやディレクターの仕事を経て、1992年深夜ドラマ『悪いこと』にてドラマ監督デビューをしています。その後、1996年『7月7日、晴れ』で映画監督デビューをし、の推薦で『踊る大捜査線』のチーフ演出に抜擢され、ヒット作として、シリーズ映画2作目において実写邦画興行成績の歴代1位となっています。その後もアニメ監督等幅広い演出能力を発揮しています。

柳葉敏郎は、劇団ひまわりに入団し、その後、「一世風靡セピア」のメンバーとして活躍しています。1980年にテレビドラマに出演するようになり、1982年「胸さわぎの放課後」で映画デビューをしています。1997年『踊る大捜査線』シリーズで当たり役となり、以降も様々な作品で活躍している俳優です。

物語は、元警察官僚の主人公が警察官を退き、故郷の秋田で地域のために過ごしていたが、そこに現れた少女により、過去の事件と対峙していくストーリーです。

踊る大捜査線のスピンオフ映画で、本作は、先月公開された「室井慎次 敗れざる者」の続きのストーリーです。

当然、「室井慎次 敗れざる者」を鑑賞しているのが前提の物語でもあるので、まずは、「室井慎次 敗れざる者」を観るのが良いのですが、場合によっては公開が終了している可能性もあるので、本作を観るタイミングが難しいです。

「室井慎次 敗れざる者」ではすでに酷評されているところもあり、展開が遅いという点で、制作意図が見えづらいところもあるようで、単に、踊る大捜査線を制作するというよりも、「とにかく踊る大捜査線制作した」という印象を受けます。

TVドラマシリーズでは、警察ものの作品ながら、様々な警察作品のお約束を破り、警察組織をおもしろおかしく描いたところが面白く、キャラクターも多く登場しますが、それ以上に、主人公のキャラクター性や気軽に観られるコメディ感が本作の魅力だったように思います。

映画化されて以降、作品のクオリティが右肩下がりなのが個人的意見ですが、本作では、とても重要なことが起こるようです。

とはいえ、踊る大捜査線がなぜ人気になったのかをあまり理解してない映画シリーズで言えば、観客目線の作品ではなく制作側の利益のための作品のようにも思えるわけで、そもそも、踊る大捜査線のスピンオフや、主人公青島を期待しているのではなく、軽妙なコメディ感と今までに観たことがなかった新しい警察ドラマであり、制作の根底自体がどこかボタンを掛け違えてしまっている感は否めないところです。

室井慎次が見たくないわけでもなく、青島俊作を期待しているわけでもなく、今まで見慣れなかった新しい切り口の警察ドラマが観たいのであり、踊る大捜査線を楽しむという点であれば、TVドラマシリーズだけを観ておけば綺麗にまとまっている傑作だとは思います。

映画が蛇足の物語になってしまっている以上、どこかで払拭してもらいたいところもありますが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がパート3できっちりと完結して、以降、自体が続編を一切作らないという覚悟があったように、作品としての何かをしっかりと担保してほしいところは感じます。

踊る大捜査線の良いところは、「犯人や事件がさほど重要なことではない」という制作感がTVドラマにはありましたが、映画シリーズは、「感動やメッセージ」を込めすぎて、から回ってしまったところはあるのだと思います。

予告編

個人的に勝手に思う関連作品