【監督】ライラ・ノイゲバウアー
【出演】ジェニファー・ローレンス/ブライアン・タイリー・ヘンリー/リンダ・エモンド/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 リンジーは、アフガニスタンでの戦争からの帰還兵。故郷のニューオリンズに戻ってくるも、なかなか社会復帰が難しく、PTSDに悩む日々を送っている。ある日、リンジーは、自動車整備士ジェームズと出会う。
少しずつ前を見ていく姿になにかを感じ取ってもらえばよいです
ライラ・ノイゲバウアーは、アメリカの映画監督で、舞台演出やテレビ等の作品を手掛けています。2022年「その道の向こうに」で長編映画監督デビューをしています。
ジェニファー・ローレンスは、2008年『あの日、欲望の大地で』で映画デビューをし、監督のギジェルモ・アリアガに「メリル・ストリープの再来」と評され、第65回ヴェネツィア国際映画祭では新人俳優賞を受賞しています。その後、2010年『ウィンターズ・ボーン』での演技が評価され、2012年『世界にひとつのプレイブック』では、第85回アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。その他、「アメリカン・ハッスル」や「ジョイ」などでも高い演技力を評価されています。
ブライアン・タイリー・ヘンリーは、2016年頃からテレビ出演をしています。映画デビューは2015年「プエルトリカン・イン・パリ」で、その後、「スパイダーマン:スパイダーバース」「ジョーカー」「ゴジラvsコング」などに出演しています。
物語は、戦争からの帰還兵である主人公が、ニューオリンズの故郷で生活をし始めるも、PTSDの影響でなかなか社会に馴染めないながらも、少しずつ前に進んでいくストーリーです。
序盤より、戦地で怪我をし、リハビリをするリンジーが描かれていきます。
徐々に歩けるようになり、社会復帰をしていきますが、自分の居場所に不安感を感じ、社会に馴染めないようなところとなっていきます。そんな中、プールの清掃の仕事を始めることで、自動車整備士のジェームズと出会います。
本作の原題は「CAUSEWAY」となっており、意味合いとしては、ジェームズの抱える過去の問題に通じています。この出会いがきっかけで、リンジー自体が日々の苦悩から徐々に開放されはじめます。
ジェームズ自体も親切なところがあリますが、やはり彼にも心に抱える問題があります。
戦争でのPTSDで悩んでいるというのは、アメリカではかなり一般的な問題とも言え、昔から帰還兵の苦労を描いた作品は多いです。
本作も、戦争を全面に押し出すわけではありませんが、会話の節々でそのような片鱗が語られます。
中盤を超える頃から、リンジーとジェームズの関係が徐々に密接になってきますが、その手前で、ちょっとしたことが起こります。お互いの環境や経験してきたことの違いと、伝え方の違いでの誤解となりますが、心的外傷を抱えた二人にとっては、その支えに何かしらの亀裂が生まれてしまうような感じでもあります。それでも、日々は続き、生活は続いて行くところに、言葉ではなく、リンジーの振る舞いから、グッと来るところがあります。
兄との邂逅と自らの生活を通じて、プールに入っていくリンジーには、とある決心が見えてきますが、それは決して後ろ向きではなく、そんな中でも前に進んでいくリンジーになにか感じ取れるのかと思います。
「もう一度、オファーする気ない?」
最後のリンジーの一言を抜粋しそうになりましたが、ここは、しっかりと最後までみてほしいです。
日本では、戦争経験をしてしまう人は少ないですが、それ以外の心的外傷を受けてしまう人もおり、それでも少しずつ前を見ていく姿になにかを感じ取ってもらえばよいです。