作品紹介
【監督】ジェームズ・キャメロン
【出演】アーノルド・シュワルツェネッガー/マイケル・ビーン/リンダ・ハミルトン
【個人的評価】★★★★★
【あらすじ】近未来、世界は核戦争が起こり、その後、人工知能「スカイネット」に支配されていた。しかし、未来ではジョン・コナーという指導者が人類を指揮して、スカイネットに勝つことができた。スカイネットは、殺人アンドロイド「ターミネーター」を1984年の現代に送り込み、ジョン・コナーの母親を殺害することで、ジョン・コナーの存在を抹消しようとしていた。
サブスクで観る
SF映画の一つの金字塔となる名作
ジェームズ・キャメロン監督は、スターウォーズに感銘を受け、「殺人魚 フライングキラー」で監督デビューをし、「ランボー 怒りの脱出」「エイリアン2」の脚本を書き上げ、のちに「タイタニック」でアカデミー賞を受賞した巨匠です。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、オーストリア生まれの俳優で、元ボディビルダーの経験を生かした役者転身を図り、本作で悪役ながらも一躍有名となっています。のちにカルフォルニア州知事にも就任しています。
本シリーズは、1作目の人気で続編が作られ、ターミネーターという殺人マシーンの設定がよく作り込まれた作品となっています。
物語は、SF映画の範疇かと思いますが、未来の戦争の終結のきっかけが過去に遡った未来改変に賭けると言った設定になっています。
人類の敵となったスカイネットというコンピュータは、指導者の生まれる前に母親を殺害することで戦争に勝利しようと考え、現代にはない兵器「ターミネーター」を1984年に送り込みます。
このタイムマシン設定も万能にならないように、生命体しか転送できないという設定のため、未来の兵器は持ってこられず、生身の体だけしか転送できないところが上手いです。
でもよく考えれば、ターミネーターの皮膚が生命体であるということから、体内に超絶な武器を仕込んでもよかったんじゃないかという点はツッこんではいけないところです。(続編のターミネーターでは若干この設定がユルユルになります。)
低予算映画だったこともあり、低予算でできる最大限のアクションと特撮を駆使しているところも画期的です。
ターミネーターも、シュワルツェネッガーの鍛えられた体自体がロボットといっても違和感のないところもハマりどころで、続編にもこのがっしりとした体型がトレードマークのような印象にもなります。
対する人類も未来から兵士 カイルリースが送られてきますが、このカイルが物語のキーでもあります。
当然生身の体で1984年にきますが、まずは服や靴を探さないといけないわけで、ショッピングセンターでの調達が見事。特に靴のサイズをああやって見つけるところは、なるほどと思うのと、真似したくなるところでもあります。
その後の武器調達は雑っぽいところと、無用心さがありますが、銃社会のアメリカなんでアリ。
ショットガンで撃たれても、全然平気なターミネーターには、恐怖を感じるわけで、どうやっても倒せそうにない非情な敵との闘いにとんでもない緊迫感があります。
当然ターミネーター自体も機械で強固なわけですが、外装(皮膚)が破損していき、中の機械が見えてきます。
ここで、ターミネーターは自ら修理や外装(皮膚)を剥がすんですね。
機械のくせに妙に人間臭いところもあり、特に目を修理してサングラスでごまかした時、髪型と見栄えを鏡を見て気にしているところは妙に笑えます。
タイムトラベル物としては、当然パラドックス要素もありますが、とてもうまく対処しています。ジョンの父親が誰なのかという点も考えればとてもうまくできている気がします。
終盤の闘いでは、ターミネーターがしぶとく勝てる見込みのない絶望的な展開であり、武器もなく、肝心のカイル自体も怪我をしてしまうこともあり、ここまで追い詰めてくるストーリーには、名作たる所以でもあります。
最終的にコマ撮りの手法でターミネーターが描かれ、低予算であることを逆手にでも取ったような演出が見事。
様々用意された伏線も最後の写真で見事に回収をし、完全に満足できる一本の映画として締めくくっています。
美しくまとめられた映画でありながら、さらにその続編ものちに制作され、SF映画の一つの金字塔となる名作と仕上がっています。
小ネタとして、サラのルームメイトが殺されたと警察で聞かされた時のサラのセリフが「信じられへん」という空耳として聞けます。