【監督】今泉力哉
【出演】深川麻衣/山下健二郎/伊藤沙莉/志田彩良/安倍萌生/勇翔/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 市井ふみは、パン屋で働く女性。2年間付き合った恋人からのプロポーズを断ってしまう。その後、初恋の相手の湯浅たもつと偶然再会するが、彼は離婚した元妻を忘れられずにいた。
『スキにならずに、スキでいる。』という距離感を絶妙に描いているという点では、うまくできている作品
・今泉力哉監督は、映画専門学校 ENBUゼミナールの職員として、山下敦弘のワークショップアシスタントなどを経験。その傍ら、自主制作映画を作っていましたが、2010年の「たまの映画」で長編デビューをし、『パンとバスと2度目のハツコイ』などさまざまな映画を手掛けています。
・深川麻衣は、『kawaii EXPO 2010』のモデルオーディションでグランプリを受賞し、専属モデルとなります。その後、2011年に乃木坂46のオーディションに合格し、初期メンバーとして活躍。3rdシングル「走れ!Bicycle」では、選抜メンバーにも選ばれています。乃木坂46卒業後は、女優として活躍しています。
・本作は、深川麻衣が映画初出演にて主演となっています。
・キャッチコピーは、『スキにならずに、スキでいる。』
・物語は、恋人と付き合っていたが、踏ん切りがつかず別れてしまった主人公が、偶然、初恋の人に再会するが、彼には離婚した元妻を忘れられず、それぞれが微妙な関係に悩みながらも、少しずつ前に進んでいくようなストーリーです。
・序盤から、パン屋で不思議な光景を目の当たりにするシーンから始まり、導入からの物語のちょっとひねった感じが起こりそうな予感から、スタートします。
・とはいえ、実は淡々とした物語であり、大きな事件やトラブルが起こるわけではなく、登場する人物の周辺の人間関係を描いていく内容となっています。
・主人公は、バスの営業所の洗車を見ながら、パンを食べることが楽しみとはなりますが、2020年7月からレジ袋有料化が始まったことを考えると、パンの袋が風に舞うところは、そのうちピンと来なくなるところかもしれません。
・日々の生活淡々と描かれていき、「パン」「バス」「2度目のハツコイ」と題名どおりの展開で描かれていきます。
・個人的に、コインランドリーに「百年の孤独」と「孤独の発明」の本が出てきたときはちょっとビックリしました。何故かこの本は持っているからです。
・2人で叫び合っているシーンは、映画だから成立するんだろうなぁと思うわけで、実際にあの場所にいたら、嫌だとは思います。
・なお、あの叫び合っていた場所は、静岡県伊東市大室山火口跡となります。
・淡々と描かれていく点については、実際のほとんどの人の私生活はこんなもんだよなぁと思うところに、リアル感はありますが、ここまでカタルシスを感じるまでの淡々さはちょっとしんどい気もします。
・やはり映画を見ている以上は、多少なりとも夢や突然起こる出来事、というのもほしい気もします。
・実際には偶然はきちんと描かれてはいます、やはり、その後の展開を考えても、「人を好きになるということ」が主題としてあるかのように、ちょっとほんわかしつつ、ちょっと考えさせられたりしたりもします。
・ふわっとした感じの全体像ではあり、この掴みどころの難しいところが逆にこの作品の魅力でもあります。
・『スキにならずに、スキでいる。』という距離感を絶妙に描いているという点では、うまくできている作品なのかもしれません。