【日本映画】「星の子〔2020〕」を観ての感想・レビュー

【監督】大森立嗣
【出演】芦田愛菜//大友康平//新音/
【個人的評価】★★★☆☆

【あらすじ】主人公 ちひろは、両親から愛情を受けて育ってきたが、幼少期に病弱だったちひろを治した宗教に傾倒していた。中学三年のときに担任の教師に一目惚れをするが、先生に両親が奇妙な儀式を行っているところを見られてしまう。

家族と自分の周辺を描いたストーリーであり、何が正しくて、何が正しくないかという事自体を説いているストーリーではないとは思います

大森立嗣監督は、父親に、義理の弟に俳優のがいます。大学で「8mm同好会」に入り、映像制作に関わることになります。その後、2005年『ゲルマニウムの夜』で監督デビューをし、映画祭に正式出品され、国内外で高い評価を受ける。2013年『さよなら渓谷』では、モスクワ国際映画祭で48年ぶりに審査員特別賞を受賞しています。

芦田愛菜は、母親に進められ、3歳より芸能界デビューをしています。2011年「マルモのおきて」で人気となり、以降様々なメディアに登場しながらも、難関校でもある慶應義塾中等部に入学しています。

岡田将生は、中学2年のときに原宿でスカウトされ、一旦は断るも、のちに芸能事務所に所属し、デビューしています。その後、2007年「アヒルと鴨のコインロッカー」で映画デビューをし、着々とキャリアを重ねています。2014年には、演出による舞台にも出演し、幅広い活動をしています。

第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化した作品です。

物語は、不思議な宗教に信仰を抱く両親に育てられ、中学で一目惚れをした先生に両親の奇妙な儀式を見られてしまったことで、様々な事件が起こり、この世界の自体に疑いを持ち始めていく物語です。

コメディ作品ではないのですが、主人公ちひろの親をみると、どうも、ギャグのようにも見えます。

当人はいたって真面目なのですが、新興宗教による不可思議な儀式はやはり不可思議が儀式以外のなにものでもないので、ここに感覚の境界線が生まれているようにも思えます。

観ている側は、当然、親の不思議な儀式に疑問を感じるので、先生やその他の登場人物に感情移入しがちですが、主人公 ちひろの視点で考えると、なんら不思議なことではなく、むしろ「それが当たり前」と思っていた常識のようなものを覆される感覚になるのかと思います。

「だいたい、水で風邪ひかないなら、誰も苦労しないんだよ。両親にも言っとけ。」

このときの空(くう)を見ているちひろには、言い表しにくい感情がこもります。

この感覚のズレをどのように捉えるかでこの作品の感想が変わってくるのではないかとも思います。

新興宗教という題材を扱っていますが、実際には宗教の否定や肯定ということではなく、絶妙な立ち位置であるちひろの視点から考えると、家族と自分の周辺を描いたストーリーであり、何が正しくて、何が正しくないかという事自体を説いているストーリーではないとは思います。

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