映画紹介
【監督】三木康一郎
【出演】奈緒/猪狩蒼弥/三吉彩花/田辺桃子/井上想良/小林涼子/森レイ子/吉田宗洋/板谷由夏/ベンガル/風間俊介/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公 原美鈴は女であることに不平等を感じている高校教師。ある日、親友の渕野美奈子から早藤雅巳と婚約をしたことを告げられる。早藤雅巳は、美鈴に男女の不平等さの意識を植え付けた人であった。

問題の着地点については、もうちょっとまとめられた内容であれば
三木康一郎監督は、1998年頃からテレビドラマの制作を行い、2012年「トリハダ 劇場版」で長編映画デビューをしています。『旅猫リポート』『弱虫ペダル』などを手掛けており、様々なジャンルの作品を手掛けています。また、テレビドラマでは、2020年「東京ラブストーリー」を手掛けています。
奈緒は、高校1年のときに地元福岡でスカウトされ、芸能活動を開始しています。2013年にテレビドラマに初出演し、2016年『雨女』で映画初出演をしています。2017年までは、本田なおで活動をしていましたが、姓名判断より本名の「奈緒」と芸名を変更して以来、仕事が増えたとのことです。2019年『のの湯』では、テレビドラマ初主演を努めています。尊敬する女優は田中裕子。
本作は、2013年から2017年まで連載された作者 鳥飼茜の漫画「先生の白い嘘」が原作となっています。コミックは全8巻で完結しています。
物語は、男女の不平等を感じながら生活をしている主人公の高校教師が、親友の婚約相手にその感情を植え付けた人だということを知る。その男に翻弄されながらも、ある日、担任のクラスの生徒からとある悩みを打ち明けられ、性の格差について思い悩んでいくストーリーです。
序盤から、主人公の美鈴の独白で、2つのことについて悩んでいることが描かれます。そこから、友人とその友達との飲み会で、早藤雅巳と渕野美奈子の婚約を知らされます。
美鈴は先生として仕事をしながら、男女の格差を関係ないと考えながら生きてきているところがありますが、本作ではその不平等のところに悩んでいく展開となります。
美鈴のクラスにいる新妻という生徒にも多少問題があり、その他の生徒にも男女の関係性による格差が描かれていいきます。
美鈴と早藤雅巳の関係もなかなかドロドロしたところがあり、友人の婚約者と友人の複雑な関係にもなります。
「あそこはやる気満々だよ」
元凶は雅巳にあるように思いますが、歪んだ物語の流れ的にそれが解決していくようにも思えません。
6年前の話に遡り、美鈴と雅巳の関係が描かれますが、美鈴に色々とトラウマにもなるようなことが描かれます。
本作はR15+指定の作品というところでもあり、序盤の時点でも観ていてちょっと嫌悪感を感じるところもあります。
美鈴のある可能性に気がついたというところは、その場ではすべて語られないのでわかりにくいのですが、男女の差による不平等な問題をテーマとしているところにあると思われます。
「快楽という海が溢れてしまう」
美鈴と雅巳の関係のきっかけが詳しく描かれていないままで物語が描かれていくので、スッキリしないところが本作のなかなか飲み込めないところでもあり、とはいえ、主人公視点で物語が描かれながらも感情移入しづらいところは、本作の問題点かと思います。
タイトルの「先生の白い嘘」は意味深なところもあり、美鈴自身が自分を正当化しようと思いこむ嘘なのかと思います。
究極の選択を雅巳に迫られますが、思うに、ほぼ一択ではあるように思います。
美鈴が学校を休んでいてから、復職しますが、正直、ちょっとホラー感はあります。
結末自体の締めくくりは、作品を見てもらうと良いのですが、特に主人公が何かを打開したというようなところはちょっと希薄ではあり、「なるようになった」というような感じではあります。
性別による優劣が存在している時点で平等ではないというのは非常によく分かるのですが、とはいえ、その解決が納得行く形で描かれたのかどうかで言えば、自滅しただけとも思えます。
解決する方法や、考え方に納得ができるまとめ方ではないので、もう一歩踏み込んで解決する流れがあればよかったのかもしれません。
「インティマシー・コーディネーター」を入れて撮影することに監督が断ったとのことですが、この件についても、作品の解決と同様にモヤモヤするところではあります。
男女の性の不条理に切り込んだ作品ともありますが、問題の着地点については、もうちょっとまとめられた内容であれば、良かったのかもしれません。
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