作品紹介
【監督】北野武
【出演】浅野忠信/大森南朋/仁科貴/宇野祥平/國本鍾建/馬場園梓/長谷川雅紀(錦鯉)/矢野聖人/佳久創/前田志良(ビコーン!)/秋山準/鈴木もぐら/劇団ひとり/白竜/中村獅童/
【個人的評価】★★★☆☆
【あらすじ】主人公は、殺人の容疑で警察に捕まった殺し屋・ねずみ。しかしねずみは、警察から「お前の罪を見逃す代わりに警察に協力しろ」と、覆面捜査官として麻薬組織への潜入を強要される。

「こんな映画に本気になってどうするの?」というファミコンソフト「たけしの挑戦状」のポリシーを感じるところも
北野武監督は、漫才師として「ツービート」で人気となり、数々のTV番組や司会業をしています。1989年「その男、凶暴につき」で、深作欣二監督が辞退をしたために、監督・主演で、映画監督デビューをしています。このときの脚本は、 野沢尚が手掛けています。2作目の『3-4X10月』では脚本も務め、北野武監督映画として人気となっていきます。1993年「ソナチネ」では非常に高い評価を得ており、バイク事故後の「キッズ・リターン」でも見事な作品として仕上げています。1996年『HANA-BI』で、第54回ヴェネツィア国際映画祭 金獅子賞を受賞し、『菊次郎の夏』『BROTHER』『座頭市』『アウトレイジ』など、暴力的な作品と作家性の強い作品を作り続けている監督です。
浅野忠信は、オーディションに合格し、1988年『3年B組金八先生III』で俳優デビューをしています。1990年『バタアシ金魚』で映画初出演をし、映画制作の現場を見て、映画での仕事にこだわりを持ち、様々な監督作に出演しています。その後、数多くの映画に出演しており、高い評価を得ている個性派俳優です。
大森南朋は、父親に舞踏家の麿赤兒で兄が映画監督の大森立嗣の俳優です。1993年『サザン・ウィンズ 日本編 トウキョウゲーム』で映画デビューをし、2001年「殺し屋1」で主演を演じています。その後、様々な役を演じ、映画やテレビで、主演も脇役もこなす独特な雰囲気のある俳優です。
物語は、殺し屋稼業をしていた主人公が、殺人容疑で警察に捕まり、罪を見逃してもらう代わりに覆面捜査官として麻薬組織に潜入をしていくストーリーです。
本作はアマゾンプライムビデオでの独占配信となります。
序盤から、東京タワーを中心とした東京の夜景が描かれ、東京にあるとある喫茶店「湖」にネズミという男がやってくるところで物語が始まります。
ネズミの家は一人で非常に質素なアパートに住んでおり、時折、その喫茶店で、マスターから謎の封書をもらい、とある仕事を請け負っています。
その仕事は、殺し屋稼業であり、謎の依頼人「M」より殺しの依頼を受けて生活をしていることになります。
いつもながら仕事の依頼を受けに行くと、刑事が張りんでおり、ねずみは容疑者として捕まります。
大森南朋と浅野忠信の刑事役となりますが、どうも演技が下手すぎるところに非常に違和感を感じます。特に大森南朋の演技には、ちょっと違和感を感じるくらいに、本作での演技が下手な印象があります。
ネズミは、ヤクザの組織に覆面捜査官として潜入し、今までの殺人容疑
また、他にもヤクザの演出的に、アウトレイジや今までの北野武映画とは異なり、どうもドスの効いた感じには見えないところが本作のどうも軽い印象のするところです。
中盤から「SpinOff」として内容描かれなおされていきます。
演出としては、シリアスだった物語がコメディ要素満載となり、あらすじはほとんど同じですが、とにかくコント的に笑いの入るような作りとなっていますが、いまいちベタ過ぎて、笑えるとまではいかないです。
特に、78歳にもなる北野武監督が階段で躓き転んだとしても、それが笑いに捉えるのが難しく、むしろ普通に、高齢者が転んでしまうことに心配してしまいます。
もともと、ビートたけし自体の笑いもベタな昭和的笑いが売りでもあるので、高齢者のビートたけしがその笑いをしても、イマイチ笑うというよりも、体のことを心配してしまうところがあります。
「サムスン、ソフトバンクじゃない・・・」
色々と笑いどころを用意した「SpinOff編」ですが、コメディの要素は、「みんな〜やってるか!」でも感じたような非常に下手なギャグが込められており、映画におけるビートたけしの笑いは、直球ではあまり褒められる要素は感じないところがあります。
「菊次郎の夏」でもお笑い要素を後半に込めたところはありますが、この場合のお笑いの対象は、正男に向けた笑いの要素が強く、むしろこの笑いが滑らなかったところは、滑った笑いでも意味がしっかりと存在していたところにあります。
前半と後半の構造はほぼ同じですが、シリアスとコメディの演出を織り交ぜたところが本作のポイントでもあり、いずれも視聴者に向けた演出ではあるのでイマイチ乗り切れず、情にも訴えられなかったところを感じます。
北野武監督の20作目の映画監督作品で、今回は「暴力映画におけるお笑い」をテーマとして制作された作品となります。
すでに充分な実績と映画監督としての演出力は、過去の北野武映画で象徴されていますが、何となく本作では「こんな映画に本気になってどうするの?」というファミコンソフト「たけしの挑戦状」のポリシーを感じるところもあります。
予告編
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